0時50分、痛みで目が覚める。
処方された睡眠薬を服用し、1時間ほど眠っていたものの、陣痛の痛みで目が覚めました。陣痛アプリで波を確認すると2〜5分間隔。お腹のお子さんもここ最近では経験ないほどグルグル動いてて、出産に向けてお腹の中で旋回でもしているんだろうかと思いました。お産前は胎動が減る/動かないって言われてるアレ、やっぱ都市伝説ですね。
ご主人サマーに陣痛が激しくなってきたことを連絡し、看護師さんのところへ向かうことに。もう部屋に戻れない可能性を感じたので、必要なものをまとめて移動しました。この時の荷物は以下。陣痛間隔が短くて、荷物まとめるのも一苦労でした。
- さんぴん茶(500mlペットボトル2本分、飲みやすいように100均ストロー付き)
- メガネ
- 消毒中のコンタクト
- iPhone
- 大容量スマホバッテリーと充電ケーブル
- リップクリーム
- カメラ
- マフラータオル
- ガム
- 水天宮の戌のキーホルダー
食べ飲みブロガーの意地?移動前に軽食を済ませる。
ナースセンターへ向かう直前、軽食も済ませました。腹が減ってはなんとやら。妊娠で体重が12キロほど増えてるのに、食事しないと体力がもたいないよね!という自分ルールを適用です。コンビニのパンコーナーによくあるホットケーキ、あれが好きなんですよね。好きなものはギリギリの状態でもきっと食べられる、そう思って入院前に購入して持ち込みました。陣痛が痛くない時は味わえるけど、痛い時は味もわからず飲み込むだけで精一杯。夜ごはんで残しておいた牛乳と一緒に文字通り流し込みました。
1時15分頃、陣痛室に向かう。
いろいろ準備しつつ、痛みの合間を縫って陣痛室へ。すると看護師さんではなく、手術着をきた先生がナースセンターの受付に座って何か書き物をされていました。「あら、先生がいる」と声をかけると、「どうしました?」と聞かれます。陣痛が激しくなってきたため降りてきたことを告げると、看護師さんが陣痛室へ案内してくれました。分娩監視装置と点滴をつけることに。
ここで先生に子宮口の開きを確認してもらったところ、まだ5.5cmとのこと。先生はこの日新年会があったそうで、戻ってみると出産間際の妊婦さんがひとり、そして陣痛が激しくなってきたあたしも出現。そんな状態なので「今夜は大変だ」と言いつつ、「でも大丈夫、お酒は飲んでないから」とのこと。産婦人科医って大変だなぁ、特に開業医は...なんて思いつつ、先生がいる安心感にホッとしました。
あたしはそのまま陣痛室で待機。荷造りしてきて大正解です。
1時40分、ご主人サマーへ連絡。
1時半頃、これはもうダメだと観念。かなり痛い陣痛が2〜5分置きでやってくるのです。家で寝ているご主人サマーに来てもらいたい、来てもらわないともう耐えられない。寝ているところ起こしてしまうこと、そして夜中の呼び出しに申し訳ない気持ちがあって、なんだかとても悪い気がしました。あたしは普段は相当ガサツなんですけど、こういう重要なときに変に気を使ってしまうんです。これも天邪鬼と言われる所以でしょうか。
「病院にきてくれる?」と連絡すると、「もう生まれるの?」と返事が来ました。あたしもご主人サマーも出産は初めて。そして男性のご主人サマーは出産の流れを理解していません。あたしは初産だし子宮口は5.5cmなのでまだ生まれない、でもこの後もう連絡する余裕がなくなりそうなので、そろそろ来て欲しいという意味合いの短文を数回送信しました。後から読んでみると文章自体が全然繋がってなくて、意味が伝わったか不明ですが、それくらい痛くて思考が止まっていたんだろうなぁ。ひらがなオンリー送信と漢字を含めた送信があるのも、陣痛の波を感じさせます。
2時頃、ご主人サマー到着。
2時頃、ナースセンターにピンポーンという音が響きました。でもご主人サマーから「誰も出ない」とLINEが届きました。きっと院内はてんやわんやなのでしょう。数分後、やっと院内に入れたご主人サマー。来てすぐに手を握ってくれたような記憶があるのですが、やっぱりそんな写真が残っていました。
ここから先の記憶が曖昧。
ここから先の記憶はあまりないです。ご主人サマーの到着で気が緩んだこともあるのでしょうか、カメラに残っている写真を見て、ああーこういうシーンがあったかもなーと思い出す程度です。
とにかく少しずつ感覚が短くなってく陣痛がただただ痛くて、ご主人サマーが握ってくれる手にも力が入らなかったり。楽な姿勢を探して右を下にして横になったり。陣痛が来るたびに壁を押して耐えたり。
ってか、写真撮ってる側のご主人サマー、奥さんが痛がってるのにヨユーあんなぁ。こういうヨユーぶっかましてるところに「所詮は他人事」って感じがします。写真撮っててくれて、結果オーライな側面もあるけれど。
3時半頃、コンタクトを装着。
23時に外したコンタクト。目が見えないと何かと不便です。加えてめちゃくちゃ汗かきのあたしは、メガネが汗でぬるぬる落ちてくることを知っています。視力も0.01くらいしかないので、お産の時はコンタクト必須だと考えていました。気がつくと消毒が終わっていたので、横になったままコンタクトを装着。視界ゼロだとほんっとマズいので、無理やり装着したけれど、基本的にはマフラータオルに顔を埋めて瀕死の状態です。
陣痛のクセがわかってくる。
1時間に10回も20回も痛みがやってくるので、陣痛の前に「あ、そろそろ来る」とわかるようになりました。その予感は間違いなく当たり、そして確実に痛くて大変な思いをします。
陣痛の最中って頭がおかしくなってるんでしょうか。痛みの最中、「1度の陣痛を4小節に分けて考えると、1〜2小節目は3小節目のための前置きで、3小節目が一番キツい。激痛の3小節目を引きずったまま4小節目に入り、その後はスーッと痛みが終わることもあれば、痛みを残したまま陣痛が終わるパターンもある」と考えていました。これは個人差があると思うけれど、文字に残さなきゃあっという間に忘れてしまいそうな経験です(なもんで、この部分は早めにテキストに起こした)。
引き波が大きいと、寄せ波も大きい。
陣痛の間隔は2〜5分間隔。陣痛の痛みで頭がおかしくなっているので、電鉄会社の「只今、5分間隔で運行中〜」的な運行状況アナウンスが脳内に降りて来たけれど、笑えないんですよ、痛くって。
一定間隔の陣痛は耐えられるけれど、時々不規則に遅れることがありました。3分・3分・5分だったり、3分・3分・10分だったり。この遅れてやって来る陣痛が相当痛かった。浜辺に打ち寄せる波が大きく引くと、次の寄せ波が大きいように。一段階重くなる準備で遅くなるのかな、これは悪魔の陣痛だと思っていました。
あたしは痛みは比較的我慢できるタイプだと思っていたけれど、この頃「無痛分娩に切り替えたい」「無痛がダメなら和痛でいいから麻酔してくれー」と何度も思いました。定期検診の際、先生に「痛みが我慢できなければ、緩和できますから。途中からでも大丈夫」と言われていたのを思い出していました。しかし、先生も看護師さんたちも別のお産にかかって、お願いする人が見当たらず。結果、耐え忍ぶ選択しかありません。
陣痛アナリストなご主人サマー。
陣痛があるあたしと違い、痛みもなく状況を冷静にみていられるご主人サマー。いつしか彼は陣痛を分析し始めました。彼が見ていたのは陣痛の間隔と痛み。陣痛アナリストは、いつの間にか「そろそろ来るよ」と教えてくれたり、「前から3分以上経過してるから、次はきついかも」と予告してくれたり。陣痛がきたら「はい、フーッ」と力の逃し方も指示してくれて。あたしはとにかく痛くてテンパっていたので、隣で指示をくれるのはほんとに助かりました。
分析にも飽きた頃、おふざけであたしの鼻を塞いでみたり、痛みで力が入る眉間のシワ伸ばしをしてくれたり、時々遊ばれもしたけれど... 余裕がないので何も応戦できませんでした。この辺りからさんぴん茶を飲む元気もなくなります。陣痛の合間には、気を失うように寝ていました。
汗かきすぎてクッサーなんですが、陣痛の苦行にも耐えてくれるアイブロウ。それは10年来の眉毛の友、カバーマークです。これめっちゃ使える!この写真を見て改めて。
朝方、分娩室が空く。
朝方。はっきりした時間はわからないけれど、院内のスタッフがバタバタし始めました。詳しいことは割愛ですが、分娩室が空くようです。先の妊婦さんが分娩室に入ったままあたしのお産が急に早まったら、手術室で出産することになっていました。とにかく痛いので場所なんて構わずにさっさと出したいし、単純にオペ室に入ってみたいなーとも思っていたので、個人的にはどちらでもOKでした。
が、陣痛室の外は相当バタバタ。この時点で、あたしのお産は産院に駆けつけた別の先生になるかもしれない、と看護師さんに報告を受けました。なんでもいいから早く楽にさせて!
看護師さんが戻って来た!
てんやわんやが少し落ち着き、看護師さんがあたしの元につきっきりになりました。「旦那さんはそっちで寝ていいですよ」と言われたご主人サマーは、体力温存のためにおやすみなさい。看護師さんに腰をさすってもらうと痛みが相当和らぐので、かなり助かりました。でも、楽になる分、間隔が伸びるような、そして次の陣痛は強烈になっているような。半分失神しながら、1時間、2時間と看護師さんのマッサージを受けていた気がします。
このあたりで子宮口は8cm程度。まだ全開ではないので、分娩台に登れません。この辺りから陣痛の合間にお腹に力が入るようになりました。勝手に力が入っちゃうけど、これがいいのか悪いのか、シロウトのあたしにはよくわからない。それに気付いたのか、看護師さんに「腹圧かけていいよ」と言われて開放感が得られました。腹圧サイコー!
寝ていたご主人サマーは陣痛になるとサッと横に来てくれて、陣痛が終わるとすかさず寝る、と繰り返していたようです。こちらも陣痛の合間は気絶していたので、彼がいつ寝ていたのかさっぱりわからず。
6時35分、破水。
陣痛の苦しみは、なかなか破水しない苦しみだったように思います。子宮口8cmのまま朝を迎え、看護師さんに「破水すると、もう少し開くようになるよ」と教えてもらって初めて破水に意識が向きました。そうか、破水させるために陣痛を利用すればいいのか。
看護師さんに手ほどきしてもらい、破水を心がけます。指示された言葉をそのまま書くと「ウンチするように力を入れて」ふんばります。ふんばればふんばるほど痔になります。もともと痔主のあたしは、痔の悪化を気にも止めず、ただただふんばるのみ。出産を機に痔になる女性が多いのは、もう仕方がないことなんだと思います。
朝6時35分、幾度目かの陣痛でパン!という体内の衝撃がありました。同時に暖かい液体がぬるり、ドバーッと。ああ、破水したなぁ。この時ご主人サマーは隣のベッドでスヤァ...と眠っておりました。下手に見なくて良かったよ、倒れちゃったら困るもの。
ここから先はさらに記憶が薄っすらで、ほとんど覚えておりません。
続く。