先日、スキルス胃がんで胃全摘したユッキーです。
5年生存率を上げるブログ内の「わたしとスキルス胃がん」では42歳でスキルス胃がんになり、胃全摘したわたしが感じたこと、考えたことなどを記録していきます。この記事では、胃を全て切除した後の空腹時のお腹の音についてや、胃がなくても感じる空腹感について触れてみたいと思います。
胃の切除後、お腹が鳴らなくなった。
誰もが経験する、空腹時のぐぅ〜っという音。あれはお腹のどこから出ているのか、もともとよくわかっていませんでした。最近調べてみたところ、空腹を感じた際に十二指腸からでるホルモン(モチリン)が、胃腸の動きを刺激してあの音が出るのだそうです。いろんな記事を読んだ結果、どうやら主に胃からぐぅ〜っという音が出るんだとわかりました。
情報参考元:お腹がよく鳴るのは健康? 不健康?(日経Gooday)
先日の胃全摘からというもの、お腹が減っても空腹時の音が出なくなりました。なので「そうか、あの音は胃から出ていたんだな」と思ったのですが、これはどうやら当たっていたみたい。何ごと体験するって大事だなぁ。人生に無駄はありませんね。
ところでお腹が減った時の音がなくなっても、お腹って減るもんです。ここで「胃が全部なくてもお腹って減るの?!」って思った人はいませんか。胃がない人に向けてそんな質問飛ばすなんて滅多にないと思いますが、言われてみると気になるって方は静かに挙手をしてください。はい、ということで、読者の皆さんが気になっている前提でわたしの体験を書いてみたいと思います。
胃はなくとも空腹感はある。何故なのか。
わたし自身、胃を全摘出する前に「胃がなくてもお腹って減るんかなー?」と思っていました。実際に胃を切除した後、空腹感が戻りました。振り返ってみると、手術後6日目の手元のメモに「お腹減ったな〜 おやつ食べたいな〜」と書き残しています。もうぐぅ〜っとは鳴らないけれど、胃がなくてもお腹は減るものです。
この胃がなくても空腹になる感覚を理解しようと毎回考えますが、どうもうまく説明できないんですよね。なんというか、胃があった頃に感じていた空腹でギューッと収縮する感覚はないし、「食べないと死ぬぞ!」的に生命の危機を感じさせる何かもない。そういったわかりやすい空腹感はないのに、何か食べたいな〜という意識に繋がります。
退院後「お腹減ったな〜」と言うと、すかさずご主人サマーが「胃がなくてもお腹減るんだ!」と驚いていました。胃はなくても生きられるからねぇ。胃の代役として体の何かしらの機能が、どうにかして空腹感を演出して生命維持に努めているんだろうねぇ。
胃無しの空腹感は、血糖値が演出している?
いま感じている空腹感は何なのか。これはどうも血糖値が関係しているのでは、と当初から考えていました。わたしは「血糖値の上昇し切った時の感覚」を持っていて、同じように「血糖値が下降し切った時の感覚」もあり、それを頼りに今は「ああ、お腹減ってるんだな、何か食べなきゃ」と空腹を察します。
調べてみたところ、こんな記事が見つかりました。それで「やっぱり血糖値が下がると、お腹が減ってるから何か食べろというサインが出るんだなぁ」と思いました。
情報参考元:健康公開講座「からだにやさしい胃がんの治療」質問への回答(鳥取県立厚生病院)
手術から日が経過するとともに、この空腹感は鮮明になりました。もうお腹は鳴らないけれど、お腹の減りが以前と同じように感じられます。それで、お腹が減ると冷蔵庫を覗いてみたり(とはいえ食べられるものがなく、絶望して扉をすぐに閉じる)、買い物中だとフードコートに行ってみたり(とはいえ全然食べられるお店がないので、絶望してUターンする)。
そんな感じで血糖値に左右されるのは、胃有りも胃無しも同じようです。カバンにバナナやカロリーメイトを入れて歩くようになったのは、世の中が胃無しに最適化されていないことへの絶望感を去なすための処世術です。
誰もが察知するものではない??
ただ、どうもこの血糖値の上昇・下降は、全員がキャッチできるものではないようです。というのも、ご主人サマーに「血糖値が上がった時、下がった時の感覚、わかる?」と聞いたところ「わからん」との回答でした。
これは術前の話ですが、丸源ラーメンの低糖質麺で満腹になった時も「お腹は膨れているのに、血糖的に体が満足していない、変な感じなんだよね」と話を振っていたのですが、ご主人サマーからは理解を得られませんでした。氏曰く「お腹が満たされる(以上終わり)」となっていて、食後「血糖値が上がってハッピー!」という感覚がわたしとは違うっぽいのです。n=1ですが、血糖値の上昇・下降を理解できる能力は全ての人に備わっているわけではなさそうだぞと思っています。
この話をおかんにしたところ、血糖値が上がる感覚を持っているようで、やっぱり人によって違うみたい。人体って個体差激しくておもしろいなぁ。
俺には夢がある 両手じゃ抱えきれない
そんなわけで、胃全摘出したいちスキルス胃がん患者としては、食欲もあるし空腹感も感じますよ、というお話でした。それでもやっぱり胃を切除する前とはどこか違って、お腹は鳴らないし、血糖値を頼りに食事している感じです。
ちなみに術後1ヶ月を過ぎた今、食欲はあって「あれも食べたい これも食べたい もっと食べたい もっともっと食べたい」と思っているのに、現実が伴わずに悲しくて泣けてしまいます。
例えばこれ。先日訪れた商業施設のレストラン&カフェの店舗一覧です。
病院から受けている指示や避けたい症状があるため、今はこんなところに気をつけて食事しています。
- 生物は術後3ヶ月まで避ける
- 揚げもの・脂もの・繊維質は避ける
- 消化の悪い素材を避ける
- 噛みにくい麺類を避ける
- ダンピング症候群に繋がりやすい甘いものは避ける
これを満たすパルコシティのごはん処、ほとんどないんですよね。唯一イケそうだなと思ったのは、ベーカリーカフェのリトルマーメイド。ここなら食べても平気そうな質素な食事が選べるかもしれない。他は術後1ヶ月ほどのわたしには全然ダメだ…
で、頼みの綱のリトルマーメイドが大混雑していたので、結局自宅に戻って食べた食事がこれ。ダイコンとニンジン入りのレンチンたまご雑炊 with レバニラ(ニラ抜き)。スーパーのお惣菜コーナーにレバニラがあって、貧血防止できるんじゃないか?とよく噛んでチャレンジしてみました。中華な味付けがおいしかったのですが、わたしにレバニラは早過ぎたようで食後1時間くらいでお腹ピーピーになりました。
そんな感じで、トライ&エラーで食事を進めているわけです。焼肉も食べたい。ラーメンも食べたい。お寿司もカレーも沖縄そばもたべたい。生クリームたっぷりのパンケーキも食べたいし、koba'sマスターのカジュアルすぎるフレンチも食べたい。ビールも飲みたい。炭火で炙ったステーキ肉も食べたい。あれも食べたい、これも食べたい、もっと食べたい、もっともっと食べたい。
退院直後は思わなかったけれど、術後1ヶ月を迎える頃には自由に食べられないことがツラくなりました。とはいえ5年生存率を上げるためには、ガチ泣きしながらでも質素な食事を続けるしかないわけで。好きなものが食べられない=食べることへの関心が低くなり、食事の準備をするのが嫌になって「ごはん食べなくてもいいや」とか「なんでわたしは食べられないのに、家族の分を作らなあかんのや(しかもお子サマーは気分のムラが激しくて口にしないことも多い)」という気持ちも芽生え始めている今日この頃です。
終わり。