5年生存率を上げるブログ わたしとスキルス胃がん

病気を受け入れる様子が「障害受容」と重なってみえる【スキルス胃がん】

スイカを食べるひよこ

先日、スキルス胃がんで胃全摘したユッキーです。

5年生存率を上げるブログ内の「わたしとスキルス胃がん」では42歳でスキルス胃がんになり、胃全摘したわたしが感じたこと、考えたことなどを記録していきます。今回は、スキルス胃がんと診断された当時に思っていた「これって障害受容に似ているなぁ」という話を綴ってみます。

障害受容とは(ざっくり)

わたしが知っている障害受容とは、自分の体の一部が機能しなくなったり、精神的な不具合が起きてしまったり、そのような何かしらのハンデキャップに対して、本人がどのように理解し、受け入れ、消化していくのか。その一連の流れを指していると理解しています。

たとえば「脳卒中で倒れる→気付いたら病院のベッドの上→半身不随で思うように動けない→状況が理解できなくてパニック→少しずつ自分の障害を理解する→葛藤しながらも受け入れて生きていく」みたいなことだったり。あるいは「大人になってから精神的な障害と診断される→ショック→診断を受け入れられず否定する→自分の状況に悲しみや怒りがわく→少しずつ理解しようと努力する→診断を受け入れて生きていく」みたいなことだったり。こういうものは、いろんなことに当てはまると思います。

つまり、自分が思ってもみないハンデキャップや障害を急に知らされて、それを受け入れるまでの過程を指していると思うんですよね。受け入れるまでには段階があって「喪失→拒絶→闘争→折合→受容」だとか「ショック期→否認期→混乱期→努力期→受容期」だとか言われているそうです。便宜上矢印を一方通行にしていますが、実際は行ったり来たりしながらその人のタイミングで受容へと向かっていくそうです。

わたしがこの「障害受容」という言葉を初めて知った時に「あー、これわかるわー」と思ったんですよね。何にしてもショックなことを受け入れるまで、一通りの流れを経ているような気がして。わたしは医療の人間ではないのでざっくりとしか理解していないのですが、もっと正確に知りたい人はググッてみてね。

わたしが病気を受け入れた流れ

で、今回、自分がスキルス胃がんになった時も、病気を受け入れるまでの流れが障害受容そのものだったのです。おおまかに書いてみます。

は?わたしが胃がん?えっ、信じられない…(ショック期)

胃がんかまだ確定してないし。胃の一部だけかもしれないし。(否認期)

診断された。なんでこんなことに… 何も手につかない…(混乱期)

いろいろ調べた結果、すぐに死ぬわけではないとわかったぞ(努力期)

やりたいことができない不安はあるけど、とりあえず今できることをやっていこう(受容期)

ショック期から受容期まで、一般的に2週間くらいの時間が必要と書かれているサイトがあったように記憶しています。わたし自身、胃カメラ検査中に胃がん疑いとなり、診断されて気持ちが落ち着くまでに13日ほど費やしました。若い頃から様々なショッキングな事件に直面してきたわたしでも、このくらい時間が必要でした。

ハンデを受け入れるために必要だったこと

わたし的に、障害受容するために必要だったことは、以下のみっつです。

  • 時間の経過
  • 正確な情報
  • 覚悟

ひとつずつ説明してみます。

まずは「時間の経過」です。たとえば失恋の傷は、よく「時間が癒してくれる」と言われています。他にも仕事の失敗で生じたストレスも、受け入れ難い事実をふいに知って生じたツラさも、日に日に薄れていったりすると思います。それと同じように、思わぬ障害受容も1日また1日と経過するごとに、ショックは自然と薄れていくものと実感しています。無理に理解しようとせず、ある程度時間に委ねてしまったほうがラクなように人間はできているのかもしれません。

そして「正確な情報」。どうか冷静に、そして科学的根拠に基づいた情報をより多くインプットし、そして正しい道へと進んでください。精神的に不安定な時に限って、誤った情報にコロッと惑わされるものです。人間って弱い生き物ですから、自分が信じたいものだけを信じようとします。ですが、スピリチュアルなもの・非科学的な情報に惑わされないよう十分気をつけてください。世の中、そんなオイシイ話はありません。

最後に「覚悟」。衝撃的なハンデを伝えられると、最初のうちは受け入れられなかったりするでしょう。ですが時間の経過や正確な情報を得ていくと、少しずつ心に覚悟が芽生えていくと思います。この覚悟は「ショック期→否認期→混乱期→努力期→受容期」の流れで行ったり来たりしながら芽生えるものだと思うので、人や場合によって時間のかかり具合は異なると思います。

多くの場合、受け入れる体制が少しずつ構築されていくでしょう。ですが無理なタイミングで覚悟を求めると、拗らせて着地しなくなることがあるかもしれません。なので時間をかけて、その時が来るのを待つしかないんですよね。また、場合によっては絶対に受け入れない、だとか、完全に拒否するという人もいると思います。相手によっては無理を強いると関係性が崩れたりするでしょうから、慎重に進めるしかありませんよね… とにかく受け入れるためには時間はかかるのです。そういうものです。

…というのが、わたしの考えです。わたしは医学に対してシロウトですから、ここに記載した内容に医学的根拠はありません。ただただわたしの経験から思っていることを書き綴っているので、その点はご理解くださいね。

胃全摘という障害を経て

わたし自身、スキルス胃がんで胃全摘したというのは、ある意味ひとつの障害だと考えています。なんせ三大欲求の食事をごく普通に食べられないのです。みんなと同じものを食べても、胃酸で消毒ができないせいで一人だけ食中毒になる可能性もあります。胃がないというのはそんなハンデを抱えているのです。

また脾臓も取ったことで、基礎疾患を有する者になりました。一般の健康的な方と比べて感染症にかかりやすいですし、定期的に所定のワクチンを打って病気を回避しながら生きなければいけません。これまた普通でなく、障害だなぁと思います。

好きで病気になったわけじゃありませんから、いまのところ「無用なハンデを負ったなー」と思いながら暮らしています。といってもまだ手術から2ヶ月程度しか経過してないので、胃全摘で生じる苦労の1/10も理解していないでしょう。これからどんな面倒ごとに巻き込まれるかわかりません。ですが、障害受容は少なからず進んでいるので、「蒸しパンが喉が詰まって死にそう」だとか「お刺身を食べられなくてツラたん」だとか「わたしも話題の店で食べたいんだよ、くっそー」だとか、そういう壁にぶち当たっても仕方ないなと思いながら過ごしています。

そう、「仕方がない」んですよね。ある意味、これは諦めです。ですが、わたしに与えられた体はコレしかありませんから、若干のハンデを受けてもうまく折り合いをつけて生きていくしかないのです。時間をかけて少しずつ順応し、それぞれの個体に求められる形へと適応していく。そのためにわたしはいま「食べるリハビリ」をするしかないのです。(といいつつ、さっきも抹茶シフォンが食道に詰まって、苦しかったのだけれども。)
終わり。

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ユッキー

北海道出身の沖縄移住ブロガー。食べ飲み歩きブログ「毎日ビール.jp」や、雑記ブログ「毎日ノンアル.net」を運営中。1匹&1児のカーチャン。2023年からスキルス胃がんサバイバーとして「5年生存率を上げるブログ」を開始。

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