先日、スキルス胃がんで胃全摘したユッキーです。
スキルス胃がん闘病記内の「抗がん剤治療」では、スキルス胃がんで胃全摘した後の治療(術後補助化学療法)のログを残していきます。今回はステージの確定とそれに伴う術後の抗がん剤治療についてまとめます。
手術から1ヶ月、退院後初の外来へ
梅雨なのに晴れ間が広がる中、わたしは外来のために友愛医療センターへ向かいました。この日は手術後1ヶ月ということで血液検査と診察、そして脾臓を摘出したため肺炎球菌ワクチンを打つ予定にもなっていました。
朝8時に血液検査、その結果が出てからの二宮先生の診察です。他愛のない沖縄テレビの取材話から始まり、退院後の血液検査結果は経過良好とのこと。最近の体調ヒアリングを経て、病理検査の結果に話が進みました。この診察は40分くらいかけてじっくりお話をさせていただきました。途中、わたしの額から汗が垂れてきて、決して診察室が暑かったわけでもないのに、それくらい重要なお話に思えたのでしょう。
診察後に肺炎球菌ワクチンを打ち、その後、抗がん剤が開始になることから、ぴあナースの方とお話をさせてもらい、がん治療センターの見学もしてきました。
病理検査でわかったこと
この日、わたしが最も注目していたのが病理検査の結果でした。というのも、この結果で自分のがんのステージが確定し、今後の治療方針も決まるからです。
手術当日、外科医が取り出したわたしの胃および胆嚢、脾臓などは手術標本となりました。二宮先生のお言葉をお借りすると、病理医のもとで「これ以上ないくらい細かく検査した」のだそうです。
それまでの情報としては、外科医がその目で確認した「漿膜に顔を覗かせていた」ですとか「他臓器への転移は見られなかった」という言葉、そして術中迅速診断において腹腔内にはがん細胞が「出なかった」と聞いていたくらい。そこに今回の病理結果が加わり、わたしのスキルス胃がんの病状が確定します。
病理検査の結果、食道側と十二指腸側それぞれ胃の端っこにはがんがなく、脾臓・胆嚢にもがんは見られないようでした。けれども漿膜は胃の外側にまで達し(深達度:pT4a(SE))、リンパ節ひとつに転移があったこと(n11dに1/8)、そしてリンパ節外の脂肪織(P1aなのでおそらく大網)への播種が確認されたようです。
こちらの資料14ページにわかりやすいリンパ節のイラストがあったので、自分のためにもリンクを残しておきます。
情報参考キャッシュ:胃癌の外科的治療について(関西電力病院 外科)
ということでステージ3aと言い渡されたわたし、それを理解し、受け入れるのにはどうしても時間が必要でした。主治医から受け取った病理組織診断報告書を何度も引っ張り出し、わからない医療用語を繰り返し検索しては落ち込み、「前に進まねば」と鼓舞しても無性に泣けてしまったり…と、精神的に落ち着かず、3〜4日ほど何も手につきませんでした。
病理結果からステージ3aと確定
一般的には知られていないと思いますが、がんのステージは2つあります。治療開始前に見立て的に出すcステージと、手術で取り出した内臓を検査して出すpステージです。cステージのcはclinical(臨床)、pステージのpはpathological(病理)のそれぞれ頭文字です。シロウトのわたし的なざっくり理解としては、cステージはあくまでも仮で、pステージは事実に基づいたものというニュアンスで受け取っています。
先にも書いた通り、68個のうちリンパ節転移は1箇所、胃の粘膜の深さは漿膜表面に達する状態と病理結果が出ました。これにより、わたしのスキルス胃がんはpステージⅢAで確定です。
結果を受けて、つい「こうなると、リンパ節転移の1個が悔やまれますね」とポロリ呟いてしまったのですが、二宮先生にはポジティブに受け取りましょうと諭され、それもそうだなと思いつつもやっぱりどうしても残念に思えてしまうのです。惜しい。惜しすぎる。ズシッと心が重く沈みました。というのも、病理結果で出たステージによって、術後の治療が変わるからです。
術後の補助化学療法も決まった
ステージが確定したあとは、術後の補助化学療法で体内に散らばっているかもしれないがん細胞をやっつけにかかり、再発防止に臨みます。これはわたしのケースですと、抗がん剤での治療を指します。
当初より予定していた飲み薬の抗がん剤はあったのですが、ステージ3aで確定したことで、点滴の抗がん剤も併用することになりました。
手術前、二宮先生からは「いま予定している抗がん剤は、そんなに抜け毛はしない」と言われていたけれど、ステージ3aで追加になった点滴に関しては「これは抜けてしまう」とのことでした。先生のせいではないし、好きでがんになったわけでもないし、誰のせいでもないからどうしようもないけれども、長髪とオサラバするのはなかなか受け入れ難い…
ということで、髪の毛を振り乱してのヘッドバンギングは、しばらく出来そうにありません。わたしを深く知っている方ならご存知と思いますが、わたしのライフワークのひとつにSEX MACHINEGUNSの追っかけがあり、ライブ中はヘッドバンギングしまくりなのです。ファン歴=長髪歴22年のマシンガーから長髪を奪うなんて、あまりにも残酷だと思いませんか。
もちろん、スキンヘッドでヘドバンという手があるのもわかっているけれど、でもあれはマシンガー的には違うんです、そうじゃないんです。こちらとしてはロン毛をファサファサさせて、回転・8の字・V字のヘドバンしたいのぉぉぉぉおぉおぉおおお!!!(号泣)
生きてく強さを重ね合わせる
術後の病理検査の結果からも、わたしのスキルス胃がん発見や手術のタイミングは、やっぱりギリギリだったと思います。ステージ3aでよかったんです、3bや3cではなく3aでよかった。
でも、人間は強欲な生き物で、命を繋いでもらったらもらったで、髪の毛がなくなるショックは非常に大きくて。ステージが確定するまでは「ウィッグをいろいろ買って遊べばいいかな〜」と考えてたんだけど、リアルにぶち当たるとダメですね。容易にメンタルが折られました。
おかげでステージの確定後、しばらくは何もやる気力が起きませんでした。「5年生存率を上げるブログ」をポジティブに見せかけるなら、こういうのは本来書かないほうがよいでしょう。けれど、ダークサイドに堕ちたリアルを含めても闘病記でしょうし、せめて独自ドメインの世界では好き勝手な気持ちを綴っていこうと思います。
気付けば時計の針だけが回転して、あっという間に太陽も西の方角へ進み。外来から数日は、自分が世間から取り残されているような、自分の悩みを誰も理解しないだろうというような、そんな感覚が日に日に大きくなりました。動きの鈍いわたしの様子を察知したご主人サマーが先回りして動いてくれたりするので、だいぶ家事タスクは軽くて助かっているのですが、気持ち的に前に進むにはもう少し時間が必要な気がします。
そんな中でも陽はまた登るし、抗がん剤治療で脱毛→発毛まで何年かかったというYouTubeをいくつも試聴したし、がんサバイバーの先輩からおしえてもらったウィッグ屋さんのURLも見ているし、帽子も購入したし、そういったひとつひとつの生きてく強さを重ね合わせることが、この先しばらく求められるのかもなぁ。そういう努力が実ればそうたやすくもう迷わない、かもしれません。
せめて夜にはオフトゥンに包まり、ぬくぬくと心穏やかな時間を過ごしたいと思う今日この頃です。