先日、スキルス胃がんで胃全摘したユッキーです。
スキルス胃がん闘病記内の「抗がん剤治療」では、スキルス胃がんで胃全摘してからの治療(術後補助化学療法)の様子を記していきます。ステージ3aのわたしは経口抗がん剤の「エスワンタイホウ」を服用し、「ドセタキセル」の点滴も始まりました。エスワンタイホウ2クール目、ドセタキセル1クール目の副作用の様子などをまとめていきます。
エスワンタイホウへの苦手意識を主治医に伝えた
1クール目の服用で、エスワンタイホウの人工的なオレンジ風味が致命的にダメだと書きました。いわゆる「喉の奥からI'll be back」のアレです。主治医に向けては、
- 飲み込んでも、口と喉のあたりでせめぎ合って、精神的に疲れる
- 人工的なニオイも苦手で、吐き気を催す
- どうしても体に良いものと思えなくて、飲み込むのに時間を要する
- お菓子のゼリーでなんとか飲み込んでいる
と報告しています。それに対して主治医からのお話を要約すると、「術後の補助化学療法は、目に見えない大きさのがん細胞を死滅させて再発を防ぐもの。10%以上の効果があると実証されている」ということを前提に「本能的に飲み込むのが大変かもしれないけれど、どうにか理性で押さえ込んで飲みましょう」とのことでした。お菓子のゼリーでイケるなら、なんとかそれで凌ぎましょう、と。
先生のお話には納得感しかないので暫くはお菓子のゼリー作戦でいきますが、それでもダメなら別の薬や別の形状にしてもらうなど、改めて相談したいと思いつつの2クール目チャレンジです。結果的にエスワンタイホウ14日間のうち7日目で服用停止令を受けたのですが、その後先生から「薬価が上がるけれど、TS-1のカプセルも用意できそうですよ」とお話をいただきました。
薬価がいくらになるのか試算したところ、おそらく2週間で1万円いかないくらいの単価だとわかったので、3クール目からTS-1カプセルに変更してもらうことになりそうです。
エスワンタイホウ2クール目・ドセタキセル1クール目の日記
1日目
病院の外来でドセタキセル1回目の点滴を受ける。ドセは全身の毛が抜ける副作用があるので、どうしても嫌で最後まで「嫌だなぁ」と言いながら仕方なく点滴を受けた。関連する点滴も含め賞味100分ほどの点滴時間だった。ずっとPC作業してたので時間は特に苦にならず。
ドセタキセルから2時間ほど経過した頃、ちょうど帰宅途中に水下痢が大変なことになる。ドセの副作用がさっそく。
この日の夜からエスワンタイホウも開始。例のごとくオレンジ風味にI'll be backするけれど、理性と涙目でなんとか押し込む。
2日目
特に症状なし。
3日目
自宅で昼ごはんを食べる。この日はアラ汁にごはんと溶き卵を入れてレンチンしただけの、簡単雑炊的な名無しめし。
ここで初めて「魚臭いな」と気づく。この1週間アラ汁にハマッてずっと食べているが、これまで魚特有の生臭さには気づかなかった。つまり、エスワンタイホウの副作用であるニオイに敏感になり始めた実感がわく。
4日目
わたしはマウスピース矯正をしているので、24時間なるべく長い時間マウスピースを装着しなければならない。4日目の朝、マウスピースの存在に吐き気を催す。これは1クール目にもあったので、完全に副作用が来たなと思う。
トーチャンが出張でいなかったので、ワンオペ育児の一日。朝ごはん後、オエオエしながらお子サマーの登校付き添いをする。帰宅後、1時間ほど疲れが抜けず放心状態。午後の間食後もお腹の調子が良くない感じ。なんとなく食べ物を控えようと思う。
5日目
午前中はお子サマーの習い事付き添いと、お犬サマーの定期通院。これだけでヘトヘトになるわたしの体力。もともと体力がある方だったので、これくらいでヘタるなんて考えられない。食事は手抜きでランチは沖縄そば。食後に2時間くらい昼寝して体力回復。お犬サマーをモフモフすると元気をもらえる。その間、お子サマーはYouTubeとゼルダの伝説をしていた模様。
夕食も手抜きでデリバリーピザ。夜、トーチャンが出張から帰ってきて、酒臭いことに気付く。とにかくニオイに敏感だ。
6日目
朝4時に腹痛で起きる。6時以降、夜にかけて水下痢4回。
この日は学校行事があり、徒歩で向かい、暑い体育館で行事に参加し、また徒歩で家まで帰る。たいへん疲れた。帰宅後はベッドで小一時間横になった。以前ならフツーにPCを開いてブログ更新できたのにな。
ランチ後、お犬サマーをモフモフしながら2時間ほど昼寝。この間、トーチャンとお子サマーはずっとゼルダの伝説をやっていたっぽい。
エスワンタイホウを飲み込む時だけ吐きそうになる。オエオエ言いながら理性で飲み込む。朝晩の服用時だけで、精神力を使い果たす。
7日目
朝、お子サマーのお弁当を作るだけで、ニオイにやられて吐き気。細かく横になりながらなんとか生活する努力。舌が浮腫んでいるのか、歯に当たる。
いつも朝8時くらいに服用するエスワンタイホウ。この日はどうしても飲みたくなくて、先延ばしにして10時半くらいに服用。相変わらず吐きそう。コーヒーと理性で押し込む。今日も頑張った。いつも頑張ってる。
お風呂に入るのが億劫で、だけど気分転換のためにもとシャワーへ。シャンプーの際に手のひらを見ると、左手にシミが増えている。エスワンタイホウにしろドセタキセルにしろ、副作用に色素沈着があったな、と思い出す。右手にもシミを確認。急激に悲しみに襲われて、シャワーしながら泣く。
お風呂上がりにうがいをしたところ、口からピンク色がかった水が出てくる。口内のどこかから出血しているっぽい。好きでなった病気ではないし、どうしてこうなったと全てを恨みたい気持ち。恨んだところで意味がないし、ただただ虚しい。
8日目
朝イチで病院へ。車を運転できるギリギリのラインで慎重に運転した。
この日はドセタキセルから1週間のため血液状態を確認する検査の日。検査結果は想定以上に好中球と白血球の数値が低くなっており、体の負担軽減のためエスワンタイホウを中止することに。検査結果が酷くて残念な反面、エスワン中止に心が躍ったのは主治医には内緒。好中球を増やすための注射を打ち、帰宅。
通院の往復で疲れてしまい、帰宅後に横になってそのまま夕方に。この日感じた副作用っぽいものは、右の親指・人差し指の先端の痺れがあったこと。あとは車の運転中やピアナースと会話している最中も吐き気でツラかった。帰宅して午後はほぼ丸々横になっていた。
お子サマーの夕食用に購入したスーパーのお惣菜(チキンカツ)のニオイがキツかった。
9日目
朝起きると唇が乾燥してパサつき始めているものの、お子サマーの夜泣きが酷い夜だったわりには寝起きが元気。好中球が戻ってきたのか、エスワンタイホウを中止したおかげか。生活する中で気づいたのは、腰が痛いこと。腰というか骨盤というか。生理の時に腰が重くなる、アレと同じ。骨髄の中で白血球が頑張っているのだろう。夕方にかけて吐き気。
今回の抗がん剤期間は抹茶スイーツにハマッているので、抹茶シフォンケーキを焼いた。このくらいはできる。ほんとは気になるスイーツ屋さんまで買いに行きたいけれど、買い出しに行くほどの気力はない。
お子サマーの夕飯用に購入しに行ったからあげ屋さん店内のニオイがキツかった。
デンタルフロスをすると歯茎が痛む。これは初めての経験だなぁ。
10日目
鏡に映った肩周りが華奢になったなぁと思い、トイレから出て「見て見て!このへん華奢になってる!」とご主人サマーに話すと、肩ではなく「胸元が華奢になったよね」と言われる。言われてみると肋骨が浮き初めているし、そもそもブラジャーのカップも合わないのはだいぶ前から自覚している。
この日はほとんど吐気がなく過ごせた。抹茶シフォンケーキにお茶漬け、スイカにリンゴにパピコ、それに味噌汁を食べられた。ひさしぶに結構食べたなぁ。
夕食はお子サマーの希望でオムライス。ケチャップライスのニオイと、ご主人サマーが飲んでいるビールのニオイがキツかった。
この日もデンタルフロスが歯茎に当たると痛む。全身いろいろなところがちょっとずつ痛くなるの、勘弁してほしい。先は長い。
11〜14日目
体調がわりとよくなってきて、日常を送れるようになる。ただしまだ完全体ではないので、お子サマーのお迎えなどは車移動で行っていた。極力頑張らないように暮らしていた。
15日目
ドセタキセルの点滴から15日目で外来予定。
1週前に下がっていた好中球・白血球の値を確認するのが目的。血液検査の結果、好中球を増やす注射を打ったにも関わらず、思ったよりも増えていなかった。
好中球:前週600/μl→700/μl
白血球:前週1.7/μl→3.2/μl
「もしかすると前回注射を打っていなければ、もっと数値が下がっていたかもしれませんね」と主治医。「ドセタキセル1回でここまで効果が出るということは、あなたの体とドセの相性が良すぎるのかもしれません」とのこと。それってわたしからすると効果がありすぎて具合も悪くなるし、つまるところ相性が悪いように感じてしまう話だったりします。
念のため、この日も好中球を増やす注射を打ち、また2日後に外来で訪れるよう予定を組まれる。豊見城通いが止まらない。
16日目
髪の毛が猛烈に抜け始める。ドセタキセルの副作用の抜け毛が顕著にはじまったらしい。朝から晩まで抜け毛がひどい。
17日目
外来で血液検査し、結果の出る1時間後に診察。好中球も白血球も増えすぎだった。どんだけ効果あるんや、あの注射。
好中球:前週600/μl→2日前700/μl→11000/μl
白血球:前週1.7/μL→2日前3.2/μL→14/μL
主治医はこの日の血液検査結果をみて、「免疫が低下しているし、もしコロナや他の病気に感染したらと心配していました。入院の可能性もありますので」とホッとされたようだった。そもそも外来の曜日ではないのに、わたしのために時間を捻出してくださった主治医に感謝。
そして、前日から抜け毛が始まったことを告げる。「60代、70代の方でもドセタキセル1回で抜け毛になる方は少ないのですが」と前置いた上で、改めて「ドセタキセルの効果がよく出てしまうのかもしれない」というお話をいただいた。わたしは「髪の毛が抜けたら、坊主にします」と宣言した。
血液検査の結果、免疫系が回復したことを受けて翌々週から錠剤の抗がん剤を再開という流れに。ドセタキセルを含むタキセル系の点滴は効果がありすぎるので、一旦お休みになりそう。
最後に「先生に黙っていろんなものを食べているんです」という話をした。「ごはん少なめにすればカフェのごはんも一人前を食べられます」と伝えると、食べる系の回復力にたいそう驚かれた。まださすがに麺類と生物はセーブしていると伝えたところ、主治医に「麺類はもしかするといけるかもしれませんね」と言われたので、さっそくチャレンジすることに。生物については「術後3ヶ月くらい経過してからかな。沖縄は気温が高いので菌が繁殖しやすいので、みんなと食べてもひとりだけ食中毒の可能性があります。気をつけて」と忠告をいただく。
今回の投薬期間はいろいろありすぎた
かくして、飲むたびI'll be backしてくる錠剤のエスワンタイホウは途中で中止となり、点滴のドセタキセルは1回で中止という、思いもよらない投薬トラブルがありました。いろいろ続きすぎて、何が何だかもうよくわからん。笑
手術が終わったら、それをピークにその後は余裕だと思ってたんです。でも現実は全然違って、抗がん剤を用いた治療の方がよっぽどツラかった。抗がん剤を用いてがんと戦うということは、精神的にも肉体的にもキツいものですね。これは経験者じゃないと理解してもらえないことだと思うので、それをしんどい時に全方位に説明して理解を求めなければならないことがほんと面倒だし苦痛だったりします。
この記事も、投薬期間のトラブル続きでいつ着手しようか悩みに悩みました。病院の往復で時間がなかったり、そもそも具合悪くて横たわる肉塊と化していたり、元気だと思っていたら血液状態は免疫力が低下しすぎていたり、ほんといろいろありすぎました。ドセの副作用で、髪の毛も抜け落ちましたしね…
髪の毛については、また別の記事にまとめられればと思います。長髪デンジャーを切る時も泣いたし、手櫛をすると指の間に大量の毛髪がついてくるのも悲しかったし、「どうしてこんなことになってしまったのか」とがんサバイバーとなったことにも泣いたし、感情が追いつかずしばらく闘病ブログが手につきませんでした。かわりに食べ飲み歩きブログで楽しい気持ちを維持してました。
ブログには、悲しい時にしか書けないフレーズがあったり。悲しい期の気持ちをストックしたつもりでも楽しい期になってしまうと細かな描写を忘れてしまったり。だからその時その時で書き綴らねばならないのですが、今回はどうも筆というかタイピングが乗りませんでした。いろいろありすぎて精神的にも肉体的にもツラかったなぁ。とはいえ、過ぎ去ったことはすぐ忘れるようにしているので、今はだいぶ気持ち的にラクです。