先日、スキルス胃がんで胃全摘したユッキーです。
5年生存率を上げるブログ内の「わたしとスキルス胃がん」では42歳でスキルス胃がんになり、胃全摘の手術を受けることになったわたしが感じたこと、考えたことなどを記録していきます。この記事では、わたし自身がうっすら気付いていた「スキルス胃がんの症状」をご紹介します。
もし「あれ?ちょっと似てるかも…?」と思った方がいらしたら、念には念をですぐに医療機関(胃腸内科・消化器内科など)を受診してくださいね。
スキルス胃がんの症状とは
まず、一般的なスキルス胃がんの症状を調べてみました。主に国立がん研究センターのサイトをもとに情報収集しています。
スキルス胃がんの症状は、初期段階ではほとんど何もないようです。
進行期になると症状があらわれ始めます。代表的なものは他の胃がんと同じように、胃の痛み、みぞおち付近の痛み、不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振など。さらに進むとがんから出血して貧血が起きたり、黒い便(血便/タール便)になったりもするみたい。
もし、このような症状や他にも気になっていることがあれば、いち早く受診してほしい。スキルス胃がんは進行が早いとされています。「仕事や家庭が忙しくて…」というのは、わたしも経験しているのでよくわかります。ですが、命以上に大切なことはありません。どうか時間を作り、すぐに病院で検査してください。
わかりやすく派手な症状はなかった
ここからは、わたしの体験談です。
正直なところ「これ、スキルス胃がんの症状じゃん!」という症状はひとつもありませんでした。振り返ってみて、すぐに病院へ行こうと思うような、緊急度の高い耐え難い激痛や発熱、下血、吐血なども経験していません。
わたしはもともと胃がんの知識を持っていませんでした。しかも、自分が病気になると思って生きていませんし、なんなら風邪やインフルエンザにもかかりにくい健康体として生活していたので、余計にちょっとの異変は見過ごしていたと思います。そして何かあっても「なんか調子悪いけど、すぐ治るかな〜」と気にしないことが多かったです。
いま、スキルス胃がんの当事者となり、病に関するインプット量が増え、それなりに詳しくなりました。そうして振り返ってみると「あれは、もしかするとスキルス胃がんの症状だったのかもな」ということがポツポツ思い浮かんだりします。逆にいうと、インプット量が少なく病気の理解度が低い状態では、体からのサインを見逃してしまいます。スキルス胃がんの5年生存率が低い状況にも納得ですよね…
緊急度の低そうな違和感、それが「症状」だった
そんな中、わたしが胃カメラ(経鼻内視鏡)を目的に、自ら受診した理由があります。
その時の受診は「あくまでも念の為の検査」のはずでした。検査を受けて、何もないことを確認し、それでこれまで通り健康的にバリバリ働こう!と思っていたので、「念の為検査しておこう」くらいに思っていました。
というのも。
いつからだったか正確に覚えてはいないのですが、「緊急性は低そうだけど、ちょっと気になるんだよなぁ… これ、なんだろ?」くらいの違和感を3つ抱えていたのです。でも、人間ドックのバリウム検査では問題がなかったし、シロウト的には「胃に問題がないけど、最近ちょっと変な気がする〜」くらいの感覚でした。それがまさかスキルス胃がんだなんて。ビックリです。
病気にまつわる様々な情報をインプットした今、改めて振り返ると、わたしが感じていた3つの違和感は、完全にスキルス胃がんの特徴です。以下にてご紹介します。
食事量が急に減る
幼い頃から大食い傾向のわたし。ごはん大盛り・おかわりなんてザラでした。ラーメンの大盛りやトッピングだって大好きです。
しかし、この半年ほどは食べる量が急に減ったという自覚がありました。あんなにたっぷり食べられていたのに、ラーメンは普通サイズでも食べ切れなかったりするのです。最初は「もう40代だし、食べる量が減ったんだろうな」と思っていました。
実は、スキルス胃がんは胃の壁が硬く厚くなり、本来あるべき姿のように胃が十分に膨らまなくなります。胃が膨らまないことで食事が入っていかず、それで食べる量が減ってしまうわけですが、当時のわたしはそんなことも知らず、年齢のせいだと思い込んでいました。
食後の胃の張り
それまで大盛りやトッピングがド定番だったのに、普通の定食の一人前を食べてしまうと、胃が破裂するのでは?!というほどパツパツに張って苦しむようになりました。苦しく張り裂けそうな場所は胃の入り口(噴門)付近で、時にはそのまま吐いて楽になりたい気持ちにも…
食後1〜2時間ほどで落ち着きはするものの、これがかなり苦しくて、いつしか食事量を調整して減らすようになりました。たとえば、食事量が多いので同席者に食べてもらうだとか、注文時にごはん半分でオーダーするだとか。お弁当も小さいサイズを買うようになりました。
これは先に書いた通り胃が膨らまないのに、食事を詰め込みすぎたことで起こる張りです。特に、わたしのスキルス胃がんは胃の全体、そして胃体上部から食堂にかけても広がっていたので、胃の入り口(噴門)付近がパツンパツンになっていたんだろうなと思います。
体重減少
わたしは40代に入り、あっという間に体重が62→67kgまで増えました。それがどういうわけか、徐々にスーッと体重が落ちていき、半年ほどで62kgまで戻りました。一時は何をやっても減らなかったのに「なぜ痩せるんだ?」という不思議だったんですよね。
これは、胃が硬くなり広がらないため食べる量も減り、摂取カロリーが落ちての体重減少だったのだろうと思います。中年以降は太る一方だろうと思っていたので、「まさか痩せるなんて」「でも、ちょっとラッキーなのかも」と思いながら日々を暮らしていました。この時、それがスキルス胃がんのせいだとは、もちろん全く気付いていません。
楽観視せず、すぐに受診しよう
わたしの場合、「食事量が減る→体重が減る」という症状が起きました。
そして、なんとなく「40代だから〜」「食べる量がやっと一般女性くらいに落ち着いたか〜」「痩せてラッキー」といった楽観視はよくない気もしていました。体重が落ちた理由について論理的な説明ができず、自分自身でも納得できなかったんですね。そう思ったのは、虫の知らせだったのかもしれません。
その後、近所のクリニックで経鼻内視鏡(胃カメラ)を行い、生検の結果、スキルス胃がんと診断されました。結果として、幸いにも発見が遅すぎることはなかったのですが、もっと早く受診していれば、もっと早くに診断がついて手術できていたかもしれません。反対に最初の受診が遅ければ、わたしは腹膜播種を起こし、他の臓器への転移が起きて、なす術がなかったかもしれません。
この差は本当に紙一重だと思うんです。わたしは「漿膜にがんが顔を覗かせていた」と主治医から聞いています。これはつまり、腹膜播種ギリギリだったという意味だと捉えています。わたしはなんとか回避できたけれど、どこかで何かの運を落としていれば、腹膜播種になっていたかもしれません。
ギリギリのところで命を繋いでもらったからには、強く「健康不安を抱えているならばいますぐ受診を!」と発信しなければいけない。そう考えています。
意識を高めて、5年生存率を上げよう
ということで、今回はわたしが自覚していたスキルス胃がんの症状3つについて書いてみました。
スキルス胃がんは手遅れになってから見つかることが多い胃がんです。それはわかりやすく派手な自覚症状がなく、早めに受診する人が少ないから。さらに生検を取っても病理検査で見つからないこともあるし、厄介で手ごわい病気なんですよね。
スキルス胃がんは5年生存率が低いことでも有名ですが、手の施しようがあるうちに受診すれば、手術や治療を受けて寿命を伸ばすことだって不可能ではないとわたしは思います。
病院に行くっていろいろと面倒ですよね。でも、ちょっとの時間と手間をかけることでDead or Aliveが決まるとしたら、どう思いますか?体からの「緊急性は低そうだけど、なんかちょっとおかしいぞ?」というHELPをキャッチしたら、「念のため、行ってみるか」くらいの軽いノリで受診してみてほしいな、と思います。
終わり。