5年生存率を上げるブログ スキルス胃がん闘病記 抗がん剤治療

オキサリプラチンの副作用も猛烈ゥ!なんだかんだ2週間くらい調子が悪かった。【スキルス胃がん】

クタクタになっているひよこのイラスト

先日、スキルス胃がんで胃全摘したユッキーです。

スキルス胃がん闘病記内の「抗がん剤治療」では、スキルス胃がんで胃全摘してからの治療の様子を記していきます。病理の結果ステージ3Aで確定したわたしは、術後補助化学療法にS-1系+ドセタキセル系を試したものの中止となり。その後、体の回復を待って、今度はS-1系+プラチナ系を試すことになりました。ドセよりマシとはいえ、なんだかんだしんどくて、横になる時間が長かったです。そんな副作用の様子をまとめていきます。

ステージ3Aの胃がんの標準治療

わたしはpステージ3Aという病理結果が出ています。胃がんを切除したあとの術後補助化学療法として、このステージ的には現在の標準治療は3つあるのだそうです。

  1. S−1服薬+ドセタキセル点滴
  2. S−1服薬+オキサリプラチン点滴
  3. S−1服薬

わたしががん治療を始めた2023年時点ですと、1>2>3の順に再発リスクが抑えられるのだそう。それで上から順番に試してみたのですが、ドセタキセルの副作用が強烈すぎて、わたしはベッドに横たわる肉塊または屍のような経験をしました。

それから3ヶ月後。体の回復を待ちつつ、復職のデッドラインを考えつつ、わたしはオキサリプラチンの点滴を試してみました。今回はその副作用についてのお話です。オキサリプラチンは他のプラチナ系抗がん剤と違い、外来での治療が可能なのだそう。入院せずに点滴を受けられるのは患者にとってはメリットですね。

この薬はがん細胞の遺伝子合成を阻止し、増殖を防いだり死滅させる働きがあります。飲み薬のS-1系(私の場合はエスワンタイホウ)と組み合わせることで、それぞれ異なる手段でがん細胞の遺伝子の合成を阻止するわけですが、飲み薬と点滴を組み合わせることで再発リスクの低下に期待できると科学的に証明されています。いわゆるSOX療法(ソックス療法)です。

SOX療法に移行した理由

まず試したドセタキセルは、点滴から1週間後の検査で血液状態がかなり悪くなっているとわかりました。どうも体に合わず、このまま治療継続できないと判断されて中止になったのです。実感としても人生で一番の具合の悪さだったし、免疫機能(白血球・好中球)の値が回復せずに注射を2本打ったし。ドセを継続するなら、副作用が酷すぎて復職はできないと思っていたぐらいです。

あれから3ヶ月。わたしは「そろそろ次の点滴を試したい」と主治医に申し出ました。

というのも勤務先企業ではわたしの勤続年数的に休職期間が半年と決まっており、そろそろそのデッドラインが見えてきたためです。デッドラインを超えると退職といわれているし、復職するにしても「明日から戻ります」というわけにはいきません。主治医に「復職しても大丈夫ですよ!」的な会社提出用書類を書いてもらう必要があり、それを手配するのにも1ヶ月ほどかかります。また、その書類を元に産業医との面談も組む必要もあります。

となると。このタイミングで次の治療に移り、副作用の出方を確認しなければ、あっという間にデッドラインを迎えてしまいます。先々のスケジュールを考えた上で、わたしは主治医に次の治療を申し出ました。でも、主治医としては「まだ早い気がする」という反応。これはつまり、前回のドセの副作用で受けたダメージから回復したとは考えにくく、まだ早いかもしれない、という意味のようです。

ですが、社会復帰がかかったわたしも後には引けません。先に書いた通り、現在の勤め先で社会復帰するならば、そろそろデッドラインなのですと単刀直入に伝えました。それを聞いて主治医は理解を示してくださり、それでオキサリプラチンを試すことに。

がん治療中の転職が難しいのは火を見るよりも明らかで、現職復帰できなければわたしは職を失うでしょう。病になると転職活動も困難です。正攻法では受け入れてもらえないものだったりするんですよね。そりゃそうです、リスクを抱えた人間を、企業は採用しにくいですよね… 現実はなかなか厳しいものと感じています。

話が横にそれましたが、まあ、そんなわけで、オキサリプラチンを試すことになりました。手術から4ヶ月半後のことです。

オキサリプラチン点滴の様子

点滴当日。わたしは朝8時に病院に到着し、外来受付と血液検査をしてから診察に向かいました。この日は主治医が不在だったため、別の外科医に診察をしてもらって。血液検査の結果、特に問題はなく、そのままオキサリプラチンの点滴を受けました。がん治療センターという点滴を受けるお部屋に移動し、看護師が点滴のルートを取り、薬剤師に投薬スケジュールや副作用の説明をしてもらって準備完了です。

抗がん剤の点滴をするベッドにパソコンを持ち込んだ

10時半頃、吐き気止めの点滴を入れました。グラニセトロン静注液3mgとアロカリス点滴静注235mgという吐き気止め2種と、デキサート注射液3.3mgという副腎皮質ホルモン製剤が入っていたようです。典的開始後は特に変なところもなく、30分かけて流し込みました。

11時過ぎ、エルプラット点滴静注液(オキサリプラチン)、デキサート注射液3.3mg、大塚糖液を点滴。これに2時間ほどかかります。途中、お腹がムカムカするような、もしくはお腹が減っているような、変な感覚を覚えました。吐き気とは明らかに違うので、そのまま様子見しつつ、特に問題なく終わりました。

抗がん剤・オキサリプラチン投与の詳細とスケジュール

点滴を入れながら、看護師が「オキサリプラチンも徐々に脱毛してく」と教えてくれました。マジか、プラチナ系にも脱毛の副作用あるだ…。「ドセが中止になり、今回の点滴には脱毛がないと思ってたんだけど… マジか…」と悲しい気持ちになりました。

看護師が電気毛布を持ってきました。どうも、点滴を入れる左腕を温めながら点滴を流し込むのだそう。温めることでオキサリプラチンの副作用(末梢神経症)を軽減できるんだとか。ルートをとった左腕は電気毛布に包まれ、動かすことができません。片手作業となり、持ち込んだPCは簡単な操作しかできなくなりました。全然作業できん…

そうこうしてる間に眠気が襲ってきたので、横になって60分ほど眠ることに。

抗がん剤・オキサリプラチンの点滴時、左腕に電気毛布を巻いてもらった

最後に、大塚糖液を流し込んで、この日の点滴は終了。30分ほどかかりました。全ての工程が終わって解放されたのは、点滴開始からおよそ3時間後の13時20分でした。点滴したことによる急性的な具合悪さはなく、とはいえ、点滴のルートから肘関節付近まではビリビリと痺れていました。これについては後述。

お会計に向かうと、ドセタキセルのときの2倍以上(診察料・血液検査代・抗がん剤点滴などフル込みで2万円over)で驚きました。ドセ、おまいさんは安かったのだな… 薬局の薬剤師さんなら事情がわかるかもと思い、質問してみたところ「ドセと比べると、最近出た後発の新薬だから高いのかも」との見解を伺いました。そっかー、そういうこともあるのかもねぇ。帰宅後に診療明細をじっくり眺め、吐き気止めや副腎皮質ホルモン製剤、大塚糖液のお代も乗ってるだろうし、そりゃあ1回2万overするよなぁ〜と納得です。

オキサリプラチンの副作用

点滴を打った腕に痺れ

点滴が終わる頃、ルート取った左腕に痺れが生じ始めていました。看護師に電気毛布を用意してもらったけれどダメっぽかったです。これ、急に触られるとビリッとくる感じの痺れで、自分で骨に沿って触れても痛みが走ります。手首・手のひら・指先には痺れなしだったので、車の運転には影響ありませんでした。

お子サマーには「飛びついたり、強く握られると痛いからやめてね」という話をしました。「カーチャンの腕はピカチュウの10万ボルトみたいに痺れている」と説明がウケてよかったです。が、それにも関わらず、2日目に、お子サマーが左腕をぶっ叩いてきた。これがめちゃくちゃ痛くて、腕を抱えた。10万ボルトだっつってんだろー!

ちなみに、家の中でお犬サマーの鼻先が軽くぶつかったときも激痛でした。致し方なし。

点滴のルート部分から肘にかけて、しばらくビリビリと痺れが残っている状態。4日目くらいまでは違和感が大きく、2週間ほどかけて徐々に症状が消えていきました。

冷たいものに触れると痛む

冷たい刺激を受けると、触れている部分に痺れのような痛みが走りました。それは点滴の直後から発生し、2週間ほど続きました。

点滴の帰り道では、車のクーラーの風が点滴を受けた左腕にかかり、違和感を覚えて風向きを変えました。ここから冷たい刺激への反応が始まりました。

この日の夜、食器洗い時に水道水が左の手〜手首付近にかかり、痛みのような痺れのような違和感がありました。沖縄の水道水はヒンヤリしていません。それでも痛み・痺れが出るなんてと驚きました。そこで給湯器をつけ、お湯に切り変えると症状は治ります。でもすが、お風呂ではシャワーの粒感が妙にリアルに感じられて過敏になっていると気付きました。

点滴のあと、徐々に体調が崩れていきました。こういう時はさっぱりと食べられるアイスを欲します。点滴から4日目、冷凍庫からパピコを取り出した瞬間、アイスを持つ左手がビリビリと反応しました。看護師から言われた「冷たいものを持つ時は手袋をしてね」を思い出しました。パッと目に飛び込んだ手袋をはめてパピコを食べました。

日に日にビリビリ感は穏やかになり、いつの間にか症状は消えました。

オキサリプラチンの副作用で、アイスなど冷たいものを触る時は手袋が必要だった

喉の奥を逆撫でるような違和感

点滴が終わった2〜3時間後から、喉の奥に違和感が出始めました。

点滴のあとランチを食べました。そこで冷えた緑茶を飲んだところ、喉の奥になんとも表現しがたい違和感が。喉の奥に逆毛が生え、そこに水分が流れていくような。逆毛というか、鮫肌というか。最初にイメージしたのは「毛や鱗の流れに逆らって、緑茶が流れていく感じ」です。こんな違和感は初めてした。なんとも気持ち悪くて、冷たいものを避けました。

点滴から4日目、手袋をつけて食べてたパピコは、3口目で喉のあたりがビリビリ反応しました。「全身に毒薬(=抗がん剤)が行き渡った証拠だな」と思いました。

これらの逆毛的な、冷たいものでビリビリするような症状は、10日ほどかけて徐々に落ち着いていきました。気付いたら消えてたもんなぁ。

朝、二日酔いのような気怠さ

点滴の翌日以降、起床時に二日酔いのような気怠さがありました。点滴初日から2週間はエスワンタイホウ服薬がありますし、もちろんお酒を飲んでいません。エスワンタイホウだけの時は気怠さがなかったので、この二日酔い感は点滴の抗がん剤特有な気がしました。

ドセタキセルの副作用と比べると、起き上がれる・動けるという点では症状が軽かったです。それでもやはり体へのダメージは大きくて、朝のルーティン(起きて朝食を作り、子どもに食べさせ、小学校へ出発させる。お犬サマーのごはん・トイレシート交換・トイレ補助)がしんどい日が続きました。お見送りしたら、即ベッドに横たわり、そのまま朝寝して体力回復させていました。

点滴から5日目の朝。二日酔い感は全くなく、明らかにスッキリと起きられたので「副作用が抜けた!」とわかりました。「これでやっと生活を戻せる〜!」と喜んだのも束の間、朝のルーティンをこなすと体力を消耗してしまい、この日もベッドに横たわりました。二日酔い感がなくなるのと体力の回復は、どうやら連動しないようでした。

体力回復に2週間かかった

点滴から5日目の朝。「朝起きて、副作用が抜けた感じがする!」と喜んでご主人サマーに伝えたところ、それ以降の情報アップデートをしてもらえなかったようで、とっても大変でした。これはわたしのプレゼンが悪かったのかもしれません。

当時、副作用が抜け始めていたのかもしれません。けれども、体力の回復は連動していなかったんですよね。オキサリプラチンという毒薬を体に入れたのは人生で初めてですから、いつどんな副作用が起こるかは、治療を受けるわたしも時間を追いながら経験し、それを咀嚼して理解していきます。それをタイムリーに言葉にしたところで、未経験の他人は情報アップデートが難しいのでしょう。そもそも抗がん剤やがん治療には興味がなく、情報が頭に残らないのかもしれませんし。

ポジティブな「副作用が抜けてきた」と、ネガティブな「少し動いただけで疲労感がすごい」が入り混じった状態だったので、人間的にはポジティブ情報だけが頭に残ったのかもしれません。もしくは「二日酔い感がない=副作用が抜けた」で理解が止まり、体力面での回復が追いついていないことへの気遣い・配慮は感じられませんでした。

たとえば、子どもの習い事の送り迎えと付き添いだとか(車移動往復15分+レッスン60分)。図書館で好きな本を借りるよう誘導するだとか(徒歩移動往復20分+図書館滞在60分未満)。子ども行事の付き添いだとか(片道徒歩帰宅15分+昼間の屋外60分)。どれも途中から具合が悪くなり、帰宅後はベッドに即ダイブして、お犬サマーをもふもふしながら2時間ほど横になりました。

もしかすると依頼すれば対応してくれたのかもですが、甘え下手なわたしにはできませんでした。それ故に、通常通りのスパルタンなご主人サマーだったのかもしれません。

この頃は子どもの相手もままならならず、お子サマーに「今日のカーチャンは一日中寝ていて、キミの話を聞いてあげられなかったね。ごめんね」と謝っていました。それくらい家の外に出るのキツく、ツラかったです。

オキサリプラチンの副作用で横になっている時、一緒に寝てくれたお犬サマー

これらのキツさ・ツラさは、いずれも点滴から1週間以内のできごとでした。2週目には子どもの付き添いもできるようになっていました。ですが、点滴してから14日間は朝寝・昼寝が必要で、それがないと1日持たないほど体力がありませんでした。このわたしが、寝ないと1日持たないなんて。そんなの信じられます?ちょーびっくり!ちょーびっくり!(ドラム風)

そうして3週目に入り、自然と体力が戻って。商業施設や街中を歩き回っても全然疲れなくなりました。でも、今でもちょっとした坂道や階段で、簡単に息が上がってしまうのは継続しているので、本調子ではないかもしれません。

つわり的に敏感な嗅覚

オキサリプラチンを点滴してから、ドセタキセルの時と同様、ニオイに敏感になりました。お米を炊くニオイ、鶏肉のニオイ、香水の人工的なニオイ。このあたりがダメで。妊娠中のつわりのような、もしくは、二日酔いで特定のニオイに敏感になり、吐きそうになる感じのような。そういう状態でした。

この頃、副作用で買い出しに行けないだろうと、久しぶりに食材宅配サービスを使いました。以前からのY社を再開したのですが、鶏肉のニオイが全くもってダメで。前々から臭かったけれど、ずっと我慢してリピートしていて。でも今回の副作用でNGな感じだったので、これを機に二度と使わないことを心に誓いました。

新たにO社を試してみたところ味がよく、食材のニオイも気にならならず。それで今後はO社に乗り換えようと思っています。食材の鮮度とニオイ、大事ですよねぇ。

ちなみに、このニオイに敏感な時期は、昔ながらの塩辛い梅干しが役立ちました。酸味を欲するのは妊娠期によくある話ですが、副作用時に欲するとは。ニオイに敏感・梅干しを欲するというのは、体調が崩れた時のアラートなのかもしれないな、なんて思いました。

炭水化物がまるでダメ

点滴を打った翌日から2週間ほど、食が細くなりました。これはドセタキセルの時もそうで想定内だったんですけれど、今回は少量でも炭水化物を食べると、具合が悪くなってしまって。サラダや肉・魚は平気なのに、そこに米やパンが少しでも加わると途端に具合が悪くなるんですよねぇ。そこで米の代わりに豆腐で代用することに。

なぜ炭水化物がダメなのか、わたしなりに考えてみました。結論、血糖値の急上昇が原因ではないかと思って。胃全摘患者はそもそも血糖値が上がりやすく、時々早期ダンピング症候群もあったりするので、多少はそれに慣れているんです。今回は血糖値の上がる食べ物を排除したところ、状態が安定したので、余計に血糖値を機にするようになりました。

なぜ抗がん剤点滴後にそうなるのか、そこまでは説明できません。でも、食後の具合悪さは炭水化物を抜くことで回避できそうだとわかりました。それからかな、わたしがGI値を理解しようとし始めたのは。低GI値の食べ物を口にすれば、血糖値の上昇が穏やかになるというので、しばらく試してみようと食材を調べました。

副作用から完全に解放された最近は、全粒粉の強力粉を購入して手抜きフォカッチャを試作しています。全粒粉は低GI値なので、血糖値が上がりにくいと考えられます。手抜きフォカッチャは簡単なわりにおいしく、なかなか気に入っています。ただ、家族が食べてくれないっぽくて、ツラ。笑 特にお子サマーからは「俺はこういうの苦手」と言われて、ショックを受けています。www

急激に痩せる

炭水化物が食べられない時期があったこと、そして、そもそも食欲がなかったため、点滴後の2週間で急激に痩せました。オキサリプラチン点滴の朝、家で測ったら55kgだったのに、その1週間後には51kg台って。その後、回復してごはんを食べても毎日100gずつ減っていき、最終的に2週間後には4kg近く減っちゃって。食事しても痩せるって、海外の奇抜カラーなダイエットサプリもびっくりの効果だよね。抗がん剤、マジでヤバい。

抗がん剤・オキサリプラチンを点滴した後の体重現象がエグすぎた

ところで、最近デニムを新調したんですよ。タイトなジーンズにねじこみまくってびよんびよんに伸びまくったUNIQLOの27インチが、ダボダボでカッコ悪くって。お店で試着したら、UNIQLO25インチがちょうど良くて。遡ること手術前の4月時点では、28か29インチだったろうに。今や25インチって。わたしというがんと戦うボディ…

この痩せと体力の低下は、連動している気がします。今回の点滴から3週目に入り、体重が52kg台に戻った頃。蒸し暑い日中の街中を6kmほど歩けたのは、素直に嬉しかったんです。まだまだ坂道はキツいので、もうちょい体重増やさんとなぁ。今のままでは、お子を追っかけられなくて、育児にならなそうです。

血液検査上の免疫機能は問題なし!でも…

オキサリプラチンの点滴から1週間後。血液状態を確認するため、外来に行きました。血液検査の結果、免疫機能(白血球・好中球)の値は全く問題なし。ドセタキセルと比べると、雲泥の差です。すごい!ドセより体に合ってそう!抗がん剤によって体に合う・合わないがあるってことを、実体験しました。精神的にも病まなかったし、このまま継続かな?なんて思いました。

ですが、主治医の「点滴の後、どんな様子でしたか?」という問いに、わたしは「ドセほどではないけれど、すぐに疲れて横たわる時間が多かったです。いつもの日常生活通りではかったです」と回答しました。

すると主治医はうーんという反応で、「それでは、エスワンだけで治療していきましょうか。(ドセタキセルやオキサリプラチンができるまでは)エスワンだけで治療してきましたし」と提案してきました。正直、これには面食らっちゃって… 急に治療方針の選択を委ねられたのと、そして、S-1の服薬だけになると再発リスクが高まるだろうことが考えられたからです。

今後の治療方針を固める時が、急にきた

S-1服薬に点滴の抗がん剤を重ねることで、再発リスクが低減すると科学的に証明されています。つまり、点滴をやめるということは、再発リスクが高まるわけです。それがわかるので、主治医の提案には即答できませんでした。診察時間内で結論を出せそうになく、そこで「次回の外来までに色々調べて、結論を出します」と伝えて診察室を後にしました。

ですが、お会計を済ませるまでの時間で、答えは決まっていました。日常生活と治療を両立させるには、副作用を感じずに過ごせるS-1服薬のみにするしかないのです。これまでの抗がん剤治療の経緯から、S-1服薬だけなら育児も老犬介護も仕事もこなせるような気がします。

…なのだけど。帰宅するまでの車の中でいろいろ考え込んでしまって。S-1服薬オンリーにすることで、確実に再発リスクが上がるわけです。点滴の副作用を我慢すれば、再発リスクは低下するはずです。検索すると、関連する論文や記事がいくつもヒットします。ですが、明確にS-1+ドセは再発率○%、Sー1+オキサリプラチンは○%、S-1のみは○%と、一定数値を比べられる比較サイト的なものを見つけられず、判断に苦しみました。

情報収集から冷静な判断ができず、手こずったわたしは混乱しました。医学、それは一般人のわたしには難しすぎます。自分でメダパニの呪文を唱え、自らパニックに陥りました。

豆腐メンタルを導くふたり

そんなパニック時に頼れるのはスパルタンな男・ご主人サマーです。情報を与えるとパパッと回答を導いてくれる、まるでAIのような存在です。わたしからは以下5つの情報をスパルタンAIに投げかけ、答えを求めることにした。

  • 主治医から今後の治療方針について提案を受けている。
  • 現段階でわたしのステージ的に、術後化学療法の標準治療は3つあるっぽい。それぞれ再発率が異なる。
  • わたしとしては生活と治療の両立目的で、主治医から提示されたS-1服用のみが良いと思っている。
  • 但し、S-1服用のみにすると、おそらく再発リスクは少なからず上がるだろう。
  • 本当にこれでよいのか、悩んでいる。

悩みすぎていたわたしは、プロンプトの途中で声を上げて泣きました。がんの再発は嫌だし、かといって副作用でダウンするのも嫌です。スパルタンAIは「メンタル弱いなぁ」と涙を拭く用のタオルを投げ入れました。闘病というリングに立つわたし、なにかに負けた気がします。

スパルタンAIはやり取りを続けました。「治療期間って、それぞれどのくらいなの?」「それぞれ回数が決まってるなら、その期間だけ頑張ればいいんじゃない?」。

ドセもオキサリプラチンも点滴できるかどうかは、その時々の血液検査状態や健康状態によります。3つの治療方法ともに治療回数がバラバラで、体調によって点滴の可・不可があり、終わりの時期が読めません。タオルで鼻水を拭いながら、そんなコメントを返しました。

そもそも点滴による副作用で横になる時間が多くなると、正直、仕事になりません。このままでは社会復帰は見込めないのです。そんな生活が続くと収入面はもちろん、育児もロクにできないし、もしかすると次年度の学童利用にも影響するかもしれません。そんなの、確実に詰むわけです。

「じゃあS-1服用のみがいいんじゃないの?」とスパルタンAIはいいました。「もし再発したら、点滴の抗がん剤を使うことになるかもしれないんでしょ?だったら、それまでやらなくてもいいんじゃないの?」。それも考えていたことなので、やっぱそう考えるよなぁ、なんて思いました。

念のため、お友達の胃腸内科医にも相談させてもらいました。彼は主治医の言葉を補足するような説明に加え、副作用のキツさで患者が治療継続を諦めてしまうような話にも触れてくれました。また、わたしが副作用に苦しむSNS投稿したのも見てくれていたそうで、わたしは点滴に対して副作用が強そうなことわかりました。患者自身は、他患者と比べようがないので、客観的にそう教えてもらえて助かりました。治療継続が重要で、心を折らず続けることに意味があると理解しました。そうだよなぁ、途中で治療をやめてしまったら、効果がないよなぁ。

次回の外来で答えを伝える

ここまでツラツラと9000文字オーバーです。クソ長い文章を読んでくれる奇特な方がいるのかどうかわかりませんが、とはいえ、自分の身に起きたことをインターネットに書き残す趣味のわたしは、闘病のログを残さなければいけません。それが病になったわたしに与えられた使命だと思うのです。

かくして、わたしの中で治療方針が決まりました。いろんな人に支えられて命を繋いでいます。それだけは当初から変わらず、お世話になった/なっている方々には、感謝してもしきれません。

わたしは、現在の標準治療の中では再発率が低いとはいえない方法を選ぼうとしています。生活と治療の両立を目指すならば、これしかないと思うのです。幸いS-1服薬によるキツい副作用は今のところないので、これならば社会復帰が目指せるだろうと期待しています。

病はコントロールできません。がんになるのも、治療途中でがんを再発するのも、わたし的には運だと思います。どうしようもないのです。だからといって、わたしはネガティブにくよくよと生きたくありません。育児も、社会復帰・社会貢献も、老犬介護も、食べ飲みも、それに推し活だって辞めないし、どれも諦めたくありません。欲張りかもしれないけれど、張り合いが出るならばいいのです。

やりたいことを全て実現できるであろうS-1服薬だけに絞りたい。主治医の提案に対しての答えは、それで行こうと思っています。
終わり。

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ユッキー

北海道出身の沖縄移住ブロガー。食べ飲み歩きブログ「毎日ビール.jp」や、雑記ブログ「毎日ノンアル.net」を運営中。1匹&1児のカーチャン。2023年からスキルス胃がんサバイバーとして「5年生存率を上げるブログ」を開始。

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