先日、スキルス胃がんで胃全摘したユッキーです。
5年生存率を上げるブログ内の「わたしとスキルス胃がん」では42歳でスキルス胃がんになり、胃全摘の手術を受けることになったわたしが感じたこと、考えたことなどを記録していきます。この記事は、胃と同時に脾臓も失い、それが理由でこれからもマスクをするというお話です。脾臓って感染症にかからないための重要な臓器だったとは!
胃がんになり、胃と胆嚢と脾臓を失った
進行しているスキルス胃がんとわかり、主治医からは「胃と胆嚢、脾臓を取ります」という事前の案内がありました。脾臓と近い箇所のリンパ節にもがんが広がっている可能性があり、それで脾摘するとのこと。
胃はわかる。
原発のスキルス胃がんを宿してしまっているから、そりゃあ全部切除するのも理解できます。
胆嚢の存在もなんとなくわかる。
胆石ができるアレですよね。胃全摘すると胆石ができやすくなるそうで、予防的に胆嚢摘出をすることになりました。
では、いったい脾臓とは?
耳にしたことはあっても、役割を考えたことなんてありませんでした。どうも胃と密な位置にある臓器だそう。主治医に「脾臓を取った後のデメリットは?」と確認したところ、「感染症にかかりやすくなりますが、対処法があるので安心してください」とのことでした。
そんなわけで、胃全摘の手術で、わたしは胆嚢と脾臓も失いました。
脾臓の役割とは?
そもそも脾臓ってどんな役割をしている臓器なのでしょう。胃や肝臓のように知名度があり、どんな役割か認知されている臓器とは違い、脾臓は目立たず地味なものだと思います。この臓器の役割を即答できる人はどれくらいいるのでしょうか?
調べたところ、脾臓の機能は主に4つあるようでした。
- リンパ球や抗体を作る免疫機能
- 古い赤血球を破壊する機能
- 血を造る機能
- 血液を貯める機能
人間の体はよくできていて、脾臓がなくても他の臓器がサポートしてうまく体調維持できるようになってはいるようです。なので脾臓がなくても一応生きられはするみたい。でも、他臓器でカバーしきれず、摘出後に最も問題となるのが免疫機能の低下のようです。
脾臓がないとどうなるの?
脾臓を摘出すると、感染を防御する抗体をつくったり、望ましくない微生物を取り除こうとする能力がある程度失われます。これはつまり、感染症にかかりやすくなるという意味です。
もともと脾臓には特定種類の細菌に対して防御する役割があり、切除するとそれら細菌への感染リスクが特に高まるんだそう。脾臓摘出者と脾臓がある人とでは、肺炎球菌,髄膜炎菌,Hib感染への感染リスクは50倍にも上昇すると書かれた記事を読みました。健康体の時は全く意識してなかったのに、急に厄介なことになってきたぞ…
情報参考元:日本医事新報者 胃,胆嚢,脾臓摘出患者に推奨されるワクチン接種スケジュールとは?
これについて主治医が「対処法がある」と言っていたのはワクチンです。脾臓を切除してしまった無脾患者には肺炎球菌、Hib、髄膜炎菌のワクチンが推奨されているそうです。わたしも肺炎球菌のワクチン接種の予定が近く組まれています。そしてインフルエンザワクチンも毎年の接種が推奨なのだそうです。
各ワクチンについては、主治医から適宜案内があると思うので、それに従ってすべてのワクチンを受けます。防げるはずの感染症で死にたくないからね!
もしかして、脾臓摘出=基礎疾患を有する者?
で、ここ数年、世界中を巻き込んだ新型コロナウイルスについても調べてみました。医師が回答してくれる会員制のQ&Aサイトがありまして、それを参考にしています。
要約すると、脾臓を摘出している質問者は「基礎疾患に脾臓摘出者とは書かれていないけど、病気で脾摘した人は基礎疾患の先行ワクチン接種対象になるのか?ならないのか?どっちなんだい?(2021年の投稿)」と質問されています。
これに対し、消化器内科医は「国が示す基礎疾患を有する者の『免疫の機能が低下する病気』に該当する」とアンサーしていました。詳細はこちらの参考元リンクでご確認を。(詳しく読むには会員登録が必要)
情報参考元:AskDoctors 脾臓摘出、コロナワクチン接種基礎疾患に当てはまるのか
このQ&Aを読み、そこで初めてわたしは「あれ?わたしってもしかして基礎疾患を有する者になったんか…?」と思いました。脾臓がない=基礎疾患を有する者になった、というならばそれって結構大ごとなのでは。想像を超えてきた。自分ごとながら、無知って恐ろしい。余裕で無敵の人だった…
脾摘したことで基礎疾患を有する者扱いになるのか?ならないのか?どっちなんだい?という疑問は、次回の外来時に主治医へ確認してみようと思います。それにより、意識しなければいけない世界観が変わるかもしれません。
そんなわけでですね、2類から5類に変更された新型コロナ。これもただの風邪ではないヤッケーなヤツですから、わたしはなるべく回避しなければいけないと思ってるわけです。
だからわたしはマスクを続ける。
スキルス胃がんで3つの臓器を失ったわたし。感染症から身を守ってくれていた脾臓がなくなったいま、新型コロナが2類とか5類とかなんて関係なしに、マスク生活を続けようと思います。もちろん屋外などの感染リスクが低そうな場所では外して生活してるんですけど、屋外・屋内ともにマスクをつける・つけないは自分の判断で生きようかなと。
わたしはこれまであまり病気にかかることが少なかったです。たとえばご主人サマーが新型コロナに感染した時も、おそらく発病しているタイミングで同じテーブルで食事をしたけれど移りませんでした。また、お子サマーがインフルエンザにかかった時も同じベッドで寝ているわたしは感染せず、別室で寝起きしているご主人サマーがかかるという謎現象もありました。
それくらい「感染症にかかりにくい=フィジカルだけは強い」という自信を持って生きてきたんですけれど、それはもしかすると脾臓のおかげだったのかもしれません。その脾臓を失った今、これから病弱として生きていくのかと思うと、それなりに怖いわけで。新型コロナが5類になったとはいえ、マスクも手洗いうがいも欠かせない理由は、そういうところに由来します。
脾臓が守ってくれていた特定の感染症を含む全般が怖い理由のひとつが、死亡率の高さにあります。たとえば脾臓摘出直後の感染症死亡率は50〜70%(!)で、死亡の大半は24時間以内(!)、そのほとんどが肺炎球菌によるものだそうです。
情報参考元:日本医事新報者 胃,胆嚢,脾臓摘出患者に推奨されるワクチン接種スケジュールとは?
肺炎球菌は、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかった後、体調が完全に戻るまでの間にかかりやすいらしいんですね。症状も穏やかではなく劇症だそう。かかったら即死レベルと思うと恐怖です。脾臓を摘後して2年間が最も感染症リスクが高いっぽいので、それはもう余計な感染症から身を守りたいですし、免疫力を下げることだって避けたい。5年生存率を上げることを目標としているブロガーとしては、そんな気持ちも強くなって当たり前ですよね。
そんなわけで「まだマスクしてんの?情弱?」と発信しているアカウントを見かけたので、ツラツラと書き綴った投稿でした。「こちとら脾臓がないんだYO!おまえそんな煽っておきながらワイが劇症型感染症で即死したらどうすんだ?ああん?!」くらいの気持ちですが、内弁慶なので自分のブログだけでワーワー言い返したいと思います。笑
世の中にはいろんな人がいます。わたしもこれから各種ワクチンを受けたり、生きていくことで「このくらいなら死なない、大丈夫」と考えが変化していくことでしょう。ですが、せめて自分だけでも、さまざまなケースがあることを理解して生きたいなと思った次第です。今日のところは以上です。