先日、スキルス胃がんで胃全摘したユッキーです。
スキルス胃がん闘病記内の「転院と入院準備」では、スキルス胃がんと診断されてから入院準備までの様子をご紹介します。今回は周囲へ病気の報告・相談しているうちに気付かされた「セカンドオピニオン」のこと、そして「転院」についてまとめていきます。
仕事のチームに病気報告
当時、わたしの仕事は少し特殊でした。守秘義務があるので詳細は省きますが、ともかくチームで連携をとっている方にまずはスキルス胃がんであったことを報告しました。すると、
「何かあっても胃潰瘍くらいだろうと思っていた。まさか大病だったなんて…」
「クライアントさんには伝える?伝えない?」
「伝えるなら早い方がいいですよね」
という話し合いが持たれました。
担当業務には何故か同級生が多く集まる傾向があって、わたしの年齢的にも環境(子育て中)的にも、相当驚かれたと思います。親身に話を聞いてもらい、「友達に医療従事者がいる」とその場で連絡をとってくれて情報を集めてもらったり。このフットワークの軽さこそが案件を推進させる源だな、と思いながら会話していました。
「沖縄県内で、先進的な治療をしている病院はどこだろう」
「沖縄で手術を受けるのではなく、事例や実績の多そうな東京がよいのではないか」
「そういえば、パレットくもじ横に医療用ウィッグのお店があるね」
など、これからわたしは急に不在となり、確実に迷惑をおかけするはずなのに、とても温かい声をかけてもらいました。
頭になかった「セカンドオピニオン」の存在
中でも「ああ、そうかも!」と思ったのが「セカンドオピニオン」の存在です。
「セカンドオピニオン、受けないの?」と言われるまで、全く頭にありませんでした。率直にそう伝えると「医療はどこで受けるかが大事。家から近いからって手術を受けたら、治療がうまく行かなかった話も耳にしたことがある。病院選びはしっかりと」とアドバイスをもらいました。
それを聞いて、なるほど確かにな、と思いました。紹介で繋いでもらった那覇市立病院が悪いというわけではないのですが、敷かれたレールに乗ったままガタゴトと進められるより、一度どこで治療するか検討しても良いかもしれないな、という気持ちになったのです。
というのも、他県と比べると、沖縄県は胃がんの例数が比較的少ない地域というのが背景にありました。患者数が少ないということは、総合病院での手術数・治療数も多くないだろうと容易に推測できます。そんな中で少しでも条件よく治療を受けるなら「セカンドオピニオンも悪くなさそうだな」と感じたのです。
そこで沖縄県内と東京のセカンドオピニオンについて調べてみました。沖縄県内だと琉大病院あたり、東京はいくつもオンラインでセカンドオピニオンを受けている病院があり、現地に行かずに済むなら気軽に受けてもよいなと考えました。
お友達(胃腸内科医)にも病気報告
さて、わたしには一人、お医者さんのお友達がいます。彼とは数日後に一緒に飲む予定があったので、その場でお伝えしようかなと思っていました。しかし病気であることが確定し、セカンドオピニオンが頭に浮かんでいる今、数日間待つ時間なんてないぞと思い直したのです。
そこで生検の結果スキルス胃がんであったこと、セカンドオピニオンを考えていることをLINEで飛ばしてみました。すると
「東京に行くのもよいけど、治療法はガイドラインで決まってるので、腕の確かな先生に早く手術してもらった方がいいです。」
「信頼できるのが、友愛医療センターの二宮基樹先生です。」
と返事がありました。
友愛医療センターは豊見城市にあるのですが、そもそもわたしは病院名もどんな病院かも知りませんでした。
胃がんになるのも初めてなので、もちろん二宮先生の名前も存じておりません。二宮先生の名前を検索すると、日本の胃がん治療を牽引し続けてきた名医とのことで、なぜそのような胃外科医が沖縄にいらっしゃるのか不思議に思うほどのご実績でした。
東京に行かずとも、高水準な手術をされる二宮先生が沖縄にいる。胃がん大国・日本の中でも有数のご経験ならば間違いないだろうし、もし二宮先生でダメだったら他のどんな先生でも死ぬ時は死ぬんじゃないか。よし決めた、友愛医療センターに行ってみよう。
わたしは、お友達に「いただいたアドバイスを元に、動き出します」と返信しました。
友愛医療センターへの転院準備に入る
5日後。那覇市立病院では手術に向けた各種検査が行われる予定でした。この日、わたしは心臓エコー検査、心電図検査、腹部のエコー検査、レントゲン写真を撮りました。那覇市立病院のC先生との診療では「手術方法としては開腹手術での胃全摘になる」と告げられました。そして仮予約していた手術日について話を振られた際、わたしは「実は」と切り出すことにしました。
わたしは「やりとりに時間がかかるセカンドオピニオンではなく、友愛医療センターへの転院を考えています」と単刀直入に伝えました。するとC先生は「いいですよ、友愛なら二宮先生ですね」と。どうやら何度かお会いしたことがあるそうです。そして「では連携室を通じて書類をまとめます」とも。
こんな簡単に話が進むものかと驚いていると、「病院を選ぶのも患者さんの権利ですから」とC先生。それは確かにそうなのだけど、あっさりし過ぎて拍子抜けしてしまいました。なんというかもっとこう、ドロドロとした何か渦巻くものがあるのではとドキドキ緊張していたのに、そんなことは一切なくて本当にびっくりしたし、意外とそんなもんなんだろうなと思い直しました。
次の病院への紹介状作成と、これまでの検査結果を資料化するのに数日かかると言われましたが、実のところ、翌日には揃えてくださいました。本当にスピーディーに対応いただけたと思っています。たいへん感謝しています。
セカンドオピニオンをするかしないか
そんなわけで、わたしはセカンドオピニオンせずに転院という選択をしました。
セカンドオピニオンを検討するタイミングは様々あると思いますが、わたしは胃がん治療の経験をよりお持ちで、高水準の手術に期待できる先生に治療をお願いしたく、今回は転院を選びました。
セカンドオピニオンには時間がかかります。私の場合、ファーストオピニオンとセカンドオピニオンを行ったり来たりする時間的余裕がないと思ったので即転院したのですが、これは病状や治療方針によりケースバイケースでしょうからその場で最良と思う判断をされてみてください。
私の経験が、何か誰かのお役に立てれば幸いです。