先日、スキルス胃がんで胃全摘したユッキーです。
5年生存率を上げるブログ内の「わたしとスキルス胃がん」では42歳でスキルス胃がんになり、胃全摘したわたしが感じたこと、考えたことなどを記録していきます。この記事では、医師から聞いた「沖縄のピロリ菌は胃がんにならない」という話に驚き、帰宅後にいろいろ調べた情報をまとめてみたいと思います。
ピロリ菌に型があるなんて!
それは、まだ胃がんの手術を受ける前のお話。
わたしが胃の不調(膨満感)を感じ、経鼻内視鏡(胃カメラ)の検査を受けたAクリニックで、「沖縄のピロリ菌は胃がんにならない」という話を耳にしました。正確には「胃がんになりにくい」だと思うのですが、ここでは言われた通り「胃がんにならない」の表現ままで進めます。
胃がんの原因と言われるヘリコバクター・ピロリ菌に型があるなんて!医療関係者でもなければ胃がんも初めてというわたしは、まったく知りませんでした。
調べてみると大学の論文や、ここ数年のウェブメディアの記事がいくつかヒットしました。ひとつひとつ目を通します。医学用語も多いので100%は理解できないにしても、大筋でこんなところだと思います。
- ピロリ菌は世界の地域別に7グループに分けられるっぽい
- 沖縄のピロリ菌にはどのグループにも所属しない沖縄特有の型もある(?)
- 大まかに分けると東アジア型(胃がんになりやすい)と欧米型(十二指腸潰瘍になりやすい)がある
- 沖縄はどちらかというと欧米型に近いっぽい(?)
注:こちらはシロウトの物好きによる意訳ですから、正確な情報はご自身で確認してください。
情報参考元:大分大学 沖縄における、胃十二指腸疾患とピロリ菌の病原性因子との関連性
情報参考元:沖縄のピロリ菌探る 人類移動の解明へ期待 大分大副学長ら
ヘリコバクター・ピロリ菌とは?
そもそもピロリ菌とはなんでしょう?
ピロリ菌の正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ菌」です。この菌は口から感染します。たとえば衛生環境が整っていない時代に井戸水を飲んで感染するとか、離乳食の未発達時代に親族が咀嚼したものを子どもに食べさせて感染するとか、そういう経路でピロリ菌は胃粘膜に住み着くとされています。
衛生環境が整い、離乳食が発達した現代においては、若年層のピロリ菌感染者数は激減しているそうです。ピロリ菌除去も保険適用されていますし、ピロリ菌感染から胃がん患者になったと考えられるわたしとしては、このまま「しっかりと撲滅してくれ!」と願います。(個人的には、国や自治体の事業として徹底的に排除して欲しい)
さて、ピロリ菌に感染すると、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍を引き起こします。その発展系が胃がんなのですが、菌に感染した100%が必ずしも疾患になるわけではないっぽいんですね。つまりピロリ菌の他にも生活習慣や体質、遺伝などの要素が加わることで、病気になるのでしょう。加えて、免疫力を低下させるという点では、ストレスそのものやストレス発散に用いられがちな飲酒・喫煙も、何かしら影響していそうだなと思ったりします。
情報参考元:国立がん研究センター 遺伝要因がピロリ菌感染の胃がんリスクを高めることを解明
情報参考元:国立がん研究センター 自覚的ストレスとがん罹患との関連について
北海道産ピロリ菌と過ごした40年
さて、わたしの身の上話を少し。
母方の祖母が胃がんで亡くなり、おとんも胃がん経験者、その他、父方も母方も高齢になってあらゆるがんにかかり亡くなっていたりします。いわゆるがん家系ってヤツです。
寒い北国に生まれたわたしは、昭和生まれということもあって、比較的塩辛い食べ物に囲まれて育ちました。新巻鮭や漬物など保存食が身の回りにあったし、自分自身も濃口の食事が好みだと自覚しているので、お子サマーのごはんは薄めにするなど配慮しています。食生活では魚が好きですが、沖縄移住後はおいしい魚がないので肉食に傾き、野菜はよく食べる方ですが果物はほとんど食べない生活です。ご存知の方も多いかもしれませんが、毎日ビールを飲んでいました。
長らく北海道産ピロリ菌と寝食を共にする生活をしたわたしは、人間ドックの結果、40歳でピロリ菌を除菌することになりました。除菌を終えて「やったー!すべて終わったー!」と思っていたけれど、結果としては終わりの始まりに過ぎなかったです。実のところ除菌までに積もり積もった胃がん発生リスクは残ってしまうようで、その後の経過観察は必要なものだったらしいと今になって知りました。
ピロリ菌除去から2年と少し、わたしは42歳にしてスキルス胃がんと診断されました。人生100年ともいわれる時代、誰もがそこまで生きられる保証はないけれど、残りの最大58年を胃なしで暮らさねばならなりません。北海道産ピロリ菌に対し、恨みはらさでおくべきか。(やっぱり、国や自治体のお仕事として徹底的に排除してくれ!と願う)
願わくば、直系家族の胃がん連鎖を断ち切りたい
経口内視鏡(胃カメラ)を受けた、Aクリニックでの会話に戻ります。
カルテでわたしの名前を確認したT先生は、「沖縄の生まれではないでしょう?」と話しかけました。北海道の生まれと答えると、先生は「そうですよね。沖縄のピロリ菌は胃がんにならないと言われているんです」と続けます。えー!そんなことあるんだ!?
気になって帰宅後に調べてみたところ、確かに信ぴょう性の高い情報がネット上にチラホラ見つかりました。前述の通り、沖縄のピロリ菌はタイプが異なるから胃がんになりにくく、ピロリ菌感染者率は他地域と変わらないのに、胃がんになる率は全国平均を下回るという情報をいくつも目にしました。沖縄すごい!
ですが、胃がん率の低い沖縄で、胃がん全体の10%程度といわれるスキルス胃がんとなると、沖縄県内での治療数・手術数は少なそうだな…と思いました。その考えが元になり、意識が転院へと向きました。
(詳細:スキルス胃がんでセカンドオピニオンを受けるべき?転院は?)
そして、母方の祖母は62歳で発病、おとん52歳で発病、わたし42歳で発病と脈々と続く直系家族のスキルス胃がん。これをどうにか断ち切れないものかと考えるわけです。具体的には、まずお子サマーのピロリ菌検査と除菌です。これは、ピロリ菌除菌の年齢が若いほどリスクを回避できるから、早めに実施したい。
この考えをAクリニックのT先生に投げかけたところ、「県外だと10代でピロリ菌検査をして、必要に応じて除菌している自治体もありますが、沖縄は対象外です。もし検査したい場合は自費になり、投薬が必要な場合も保険適用外となります」とのことでした。調べてみると確かに実施している自治体の情報がヒットします。学校の健康診断で調べるっぽいです。
情報参考元:中日新聞 中学生にピロリ菌検査 自治体の取り組み増加
T先生曰く、自費での検査には数万円、除菌の薬にも数万円は必要との見立て。なるほど。お子サマーを病から身を守るための投資と考えるには、悪くないかもしれません。(とはいえ、年齢的にあと10年くらい経過してから改めて考えます)
加えて「お子さんは沖縄の生まれですよね?それならピロリ菌感染の確率は低いですし、沖縄のピロリ菌は胃がんにならないといわれているので、そんなに心配しなくてもよいかもしれません」との言葉もいただきました。ああ、確かに…!この点においては、本当に沖縄移住してよかった!
とはいえ、北海道産ピロリ菌を保有していたカーチャンとしては、感染させていない確証が得られないので、ひとまず検査しないことには安心できません。加えて、沖縄のピロリ菌が100%胃がんにならないというわけではなく、T先生も「なりにくい」という意味合いでお話されたのでしょうし、また十二指腸潰瘍を起こしやすいという性質もあるかと思うので、除菌するに越したことはありません。
そんなわけで、胃がん家系のカーチャンとしては、直系のお子サマーを胃がんから守るために対策を考えたいし、実行のためにも生き抜かねばなりません。5年生存率を上げるために5年以上生きたいといわず、10年、20年と生きて、脈々と受け継がれてきた悪しき胃がんの血筋を断ち切りたいと考えています。
終わり。