先日、スキルス胃がんで胃全摘したユッキーです。
胃無しめし内の「胃全摘術後の入院食」では、胃を全て取ってしまう胃全摘術後の入院食を振り返ります。今回は術後4日目から始まった、友愛医療センターでの流動食(重湯)について触れてみます。久しぶりの食事はいったいどんな味だったのでしょう?
胃全摘後は5回食
胃には大きくふたつの機能があります。ひとつは食べたものを貯める、もうひとつは食べたものを消化する、です。胃全摘するとこのふたつの機能がなくなりますが、食道から繋がれた小腸が食べ物を貯める役割を担うようになるんだそうです。
でも、いきなり仕事を振られて100%の力を発揮できる新人なんて、そうそういませんよね。
新しい仕事を任命された小腸も同じく、急にはいっぱいのごはんを貯める力がないので、食事量が減ってしまいます。それを補うために食べる回数を増やすのだそうです。そのため、わたしが胃全摘した後は、1日3食+10時・15時の間食という、5回食でスケジュールが組まれていました。
術後4日目(昼・夜)
胃全摘の手術から4日しか経過してないけど、わたしの食道と小腸、そしてその先の小腸と十二指腸はくっついてるのか?というふんわりとした疑問を持ちながらも、出されたものを食べていくスタイルで挑みました。まず出てきたのは流動食(重湯)でした。
お昼ごはん
・重湯150g
・具なし汁
・アンパンマンジュース
15時間食
・アンパンマンジュース
夜ごはん
・重湯150g
・具なし汁
・アンパンマンジュース
術後5日目(朝・昼・夜)
人間というものは欲深い生き物で、初日の「ごはん(というか汁物)を口にできるだけで幸せ」という純粋な気持ちはすっかりなくなり… 早くも「重湯地獄」の4文字を浮かべながら、時間をかけて汁を啜る姿はまさに修行の如し。
朝ごはん
・重湯150g
・具なし汁(味噌汁になって、味噌の味がおいしかった!)
・アンパンマンジュース
10時間食
・アンパンマンジュース
アンパンマンがりんご味で3連続した瞬間、泣きました。同じ味が続くってツラい。
お昼ごはん
・重湯150g
・具なし汁(引き続き、味噌スープがおいしい)
・アンパンマンジュース
15時間食
・アンパンマンジュース
夜ごはん
・重湯150g
・具なし汁
・アンパンマンジュース
術後6日目(朝)
この先、どのくらいこの修行めしが続くのか… いや、もちろん先は決まってるんだけど、先の見えないトンネルの中に立たされている気持ちでした。
朝ごはん
・重湯150g
・具なし汁(味噌スープがおいしい)
・アンパンマンジュース
10時間食
・アンパンマンジュース(写真忘れ)
流動食(重湯)は修行めしだった。
1回目の流動食はともかく、3回、4回と進めるうちに「つ、つら…」と思ったのが本音です。胃のある本来の姿ならば5秒で飲み込めてしまう量なのに、それをゆっくり30分ほどかけて食べねばなりません。味付けもほぼありませんし、つら…
流動食を食べながら、急にタスクを振られた小腸の気持ちになってみました。病で緊急引退した胃の代わりに、急に小腸の一部が食事を貯める役割を任命されたわけです。代役を命ぜられてわずか4日で重湯が始まりました。人間の子どもでさえ生後5ヶ月くらいから離乳食が始まるわけです。赤子同様の小腸が、わずか4日で?!大丈夫なんだろうか?と心配になりましたが、食べてみたところ特に影響はなさそうでした。
最初は「既製品ジュースうまー!」と思ったアンパンマンジュースも、同じ味が続くことが途中からストレスになりそうで、一度だけ「可能であれば、りんごとぶどう、味を交互にできませんか?」と病院の方にボヤいてしまったほどです。食に対する執着が酷い。自分、欲深いなぁ。
胃を全摘したことで食生活がガラッと変わるんだなということ、そして、自由に食べ飲みできることがいかに幸せで素晴らしいことか。この修行を経験してふたつを学びました。